「海女の島 舳倉島」フォスコ・マライーニ著、牧野文子訳
■イタリア男がつづる海女文化の記録
人類学者で日本でも教壇に立っていた著者が1964年に刊行した本の新装版。
イタリア男が海女に興味を示す時点で不埒な思惑を想像するが、否、海女の文化を日本人以上に理解し、咀嚼(そしゃく)したエッセー風の記録だ。柳田国男の記した海女文化が形成されている村の文献を基に、行き着いたのが日本海・能登の舳倉島。観光見せ物としての海女ではなく、海とともに生きる人々の文化を見事にあぶり出した。
海女たちの快活さと力強さ、美しさとしたたかさは文章と写真からもにじみ出ている。
(未來社 1800円)