「村上海賊の娘(上・下)」和田竜著
■「のぼうの城」の著者が放つ渾身の長編
天正4年、信長軍に包囲された大坂本願寺から毛利家に籠城用の兵糧10万石の支援の要請が舞い込む。信長に攻撃の口実を与えたくない毛利家の重臣・小早川隆景は、上杉謙信の動向を見極めてから結論を出したい。だが、衆議で当主の輝元は村上海賊の力を借り兵糧を海送するという案を了承してしまう。3家からなる村上海賊の因島と来島の2家は既に毛利家の息がかかっているが、筆頭格の能島だけは独立を保っていた。能島村上の当主・武吉を口説くために島に向かう隆景の家臣・乃美の前に、男勝りの武吉の娘・景が率いる海賊たちの船団が現れる。
木津川合戦を材にした時代エンターテインメント。
(新潮社 各1600円)