「フルサトをつくる」伊藤洋志、pha著

公開日: 更新日:

■過疎地にシェアハウスで住む「フルサト」づくり

 典型的なサラリーマン生活からドロップアウトした30代半ばの2人がいう。「いざとなったら死なない自信」こそが大事だ、と。イケイケドンドンで自分を鼓舞するのではなく、できるだけ気楽に甘く、生存条件を低くする。厳しい都会生活の一方でぜひとも持ちたいのが、そんな生存拠点。それが本書のいう「フルサト」だ。

 たとえば限界集落のあるような過疎地なら畑付きでも家賃は数千円、高くても2万円以下が相場。そんな田舎の家を借りて、内装を自分たちで手直ししてシェアハウスにする。いきなり田舎に引っ越しても隣近所は知らない人だらけだが、シェアハウスなら気の合った仲間との交友関係をくつろいだ環境のなかに持ち込むことができる。

 本書では過疎地にシェアハウスを持つ実践例を巻頭のカラーグラビアで紹介。新しい“フルサト”でどう暮らしをつくり、仕事を始め、人とのつながりを見いだし、「文化」を創出するかをノウハウ本とは違ったユル~い、しかし具体的な語り口で論じていく。高齢者が老害をどうやったら防げるか、そんなアイデアも示されて面白い。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    狙われた大谷の金銭感覚…「カネは両親が管理」「溜まっていく一方」だった無頓着ぶり

    狙われた大谷の金銭感覚…「カネは両親が管理」「溜まっていく一方」だった無頓着ぶり

  2. 2
    米国での評価は急転直下…「ユニコーン」から一夜にして「ピート・ローズ」になった背景

    米国での評価は急転直下…「ユニコーン」から一夜にして「ピート・ローズ」になった背景

  3. 3
    大谷翔平は“女子アナ妻”にしておけば…イチローや松坂大輔の“理にかなった結婚”

    大谷翔平は“女子アナ妻”にしておけば…イチローや松坂大輔の“理にかなった結婚”

  4. 4
    「ただの通訳」水原一平氏がたった3年で約7億円も借金してまでバクチできたワケ

    「ただの通訳」水原一平氏がたった3年で約7億円も借金してまでバクチできたワケ

  5. 5
    水原一平元通訳は稀代の「人たらし」だが…恩知らずで非情な一面も

    水原一平元通訳は稀代の「人たらし」だが…恩知らずで非情な一面も

  1. 6
    新婚ホヤホヤ真美子夫人を直撃、米国生活の根幹揺るがす「水原夫人」の離脱

    新婚ホヤホヤ真美子夫人を直撃、米国生活の根幹揺るがす「水原夫人」の離脱

  2. 7
    違法賭博に関与なら出場停止どころか「永久追放処分」まである

    違法賭博に関与なら出場停止どころか「永久追放処分」まである

  3. 8
    大谷翔平のパブリックイメージを壊した水原一平通訳の罪…小栗旬ら芸能人との交流にも冷たい視線

    大谷翔平のパブリックイメージを壊した水原一平通訳の罪…小栗旬ら芸能人との交流にも冷たい視線

  4. 9
    小室圭さんが窮地の大谷翔平の“救世主”に? 新通訳&弁護士就任にファンが期待

    小室圭さんが窮地の大谷翔平の“救世主”に? 新通訳&弁護士就任にファンが期待

  5. 10
    「白鵬米」プロデュースめぐる告発文書を入手!暴行に土下座強要、金銭まで要求の一部始終

    「白鵬米」プロデュースめぐる告発文書を入手!暴行に土下座強要、金銭まで要求の一部始終