「フルサトをつくる」伊藤洋志、pha著
■過疎地にシェアハウスで住む「フルサト」づくり
典型的なサラリーマン生活からドロップアウトした30代半ばの2人がいう。「いざとなったら死なない自信」こそが大事だ、と。イケイケドンドンで自分を鼓舞するのではなく、できるだけ気楽に甘く、生存条件を低くする。厳しい都会生活の一方でぜひとも持ちたいのが、そんな生存拠点。それが本書のいう「フルサト」だ。
たとえば限界集落のあるような過疎地なら畑付きでも家賃は数千円、高くても2万円以下が相場。そんな田舎の家を借りて、内装を自分たちで手直ししてシェアハウスにする。いきなり田舎に引っ越しても隣近所は知らない人だらけだが、シェアハウスなら気の合った仲間との交友関係をくつろいだ環境のなかに持ち込むことができる。
本書では過疎地にシェアハウスを持つ実践例を巻頭のカラーグラビアで紹介。新しい“フルサト”でどう暮らしをつくり、仕事を始め、人とのつながりを見いだし、「文化」を創出するかをノウハウ本とは違ったユル~い、しかし具体的な語り口で論じていく。高齢者が老害をどうやったら防げるか、そんなアイデアも示されて面白い。