「女系の総督」藤田宜永氏

公開日: 更新日:

■「意見を述べたらしばらく黙る。これが女性に囲まれて生きる男の処世術です」

 我輩は男である――。こんな一行から幕を開ける本書は、女系家族の父親を主人公にした著者初の家族小説である。

「この小説のヒントになったのはカミさん(小池真理子氏)なんです。カミさんは2人姉妹の長女なんですが、小池家に行くと母親と娘2人のおしゃべりがすごくて、そのうち『パパ、もう寝たら?』と追い出されるシーンを何度も見てきたんですね(笑い)。またカミさんと妹がケンカすると互いに僕に愚痴を言い、でも数日もすると仲良く電話してる。家族の女性同士の結びつきは摩訶不思議で、男はついていけません。そんな熱帯雨林のような女系一家の中で“総督”として生きる主人公・崇徳のありようを描きました」

 十数年前に妻を亡くした還暦目前の森川崇徳は、母、次女、三女夫婦と孫娘のほか、親戚、2匹の猫までもが女という構成。賑やかといえば聞こえはいいが、娘たちには言われ放題、聞きたくない赤裸々な会話など崇徳は女性群に圧倒されっぱなしだ。しかし崇徳はうまくやっている。心得があるのだ。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    狙われた大谷の金銭感覚…「カネは両親が管理」「溜まっていく一方」だった無頓着ぶり

    狙われた大谷の金銭感覚…「カネは両親が管理」「溜まっていく一方」だった無頓着ぶり

  2. 2
    米国での評価は急転直下…「ユニコーン」から一夜にして「ピート・ローズ」になった背景

    米国での評価は急転直下…「ユニコーン」から一夜にして「ピート・ローズ」になった背景

  3. 3
    大谷翔平は“女子アナ妻”にしておけば…イチローや松坂大輔の“理にかなった結婚”

    大谷翔平は“女子アナ妻”にしておけば…イチローや松坂大輔の“理にかなった結婚”

  4. 4
    「ただの通訳」水原一平氏がたった3年で約7億円も借金してまでバクチできたワケ

    「ただの通訳」水原一平氏がたった3年で約7億円も借金してまでバクチできたワケ

  5. 5
    水原一平元通訳は稀代の「人たらし」だが…恩知らずで非情な一面も

    水原一平元通訳は稀代の「人たらし」だが…恩知らずで非情な一面も

  1. 6
    新婚ホヤホヤ真美子夫人を直撃、米国生活の根幹揺るがす「水原夫人」の離脱

    新婚ホヤホヤ真美子夫人を直撃、米国生活の根幹揺るがす「水原夫人」の離脱

  2. 7
    違法賭博に関与なら出場停止どころか「永久追放処分」まである

    違法賭博に関与なら出場停止どころか「永久追放処分」まである

  3. 8
    大谷翔平のパブリックイメージを壊した水原一平通訳の罪…小栗旬ら芸能人との交流にも冷たい視線

    大谷翔平のパブリックイメージを壊した水原一平通訳の罪…小栗旬ら芸能人との交流にも冷たい視線

  4. 9
    小室圭さんが窮地の大谷翔平の“救世主”に? 新通訳&弁護士就任にファンが期待

    小室圭さんが窮地の大谷翔平の“救世主”に? 新通訳&弁護士就任にファンが期待

  5. 10
    「白鵬米」プロデュースめぐる告発文書を入手!暴行に土下座強要、金銭まで要求の一部始終

    「白鵬米」プロデュースめぐる告発文書を入手!暴行に土下座強要、金銭まで要求の一部始終