地震予知の最前線を取材し、その構造的矛盾に切り込んだリポート。
78年、東海地震の予知を前提にして大規模地震対策特別措置法(大震法)が成立したが、阪神大震災も東日本大震災も予知できなかった。専門家会議は「地震予知は困難」と結論したが、気象庁や内閣府などを取材すると、政府は大震法の改正や廃止をする気はなく、従来通り東海地震の予知を目指す方針であるという。擁護派や批判派の言い分にはじまり、地震予知の現状、そして東日本大震災をはるかに超える被害が想定される南海トラフ巨大地震の予知をめぐる問題などを伝えながら、新たな発想での地震予知研究の必要性を説く。
(化学同人 1800円)