「桑港特急」山本一力著

公開日: 更新日:

 文政13年、清水港から吉原へと売られる娘4人が乗った船が出港したが、途中嵐に遭って小笠原の父島へと流れ着いた。船乗りたちはみな海に落ち、助かったのは女たちだけ。16歳だったみすずは、父島に住みついていた元捕鯨船乗りのアメリカ人ジム・ガーナーと結婚し、丈二、子温と名付けた2人の息子に恵まれる。

 やがて立派な青年となった2人は、父島に寄港した米国の捕鯨船に乗っていた土佐生まれの日本人ジョン・マンと出会い、未知の世界への憧れを募らせる。ちょうどその頃、アメリカ西海岸はゴールドラッシュで、一獲千金を夢見る人たちが大勢集まり始めており、そこに商機を見いだした上海のチャンタオとルーパンが西海岸を目指して太平洋へ出港。彼らが父島に立ち寄ったのを機に、丈二と子温は彼らと一緒に新大陸を目指すのだが……。

 運命の荒波にさらされながら生き抜いた兄弟の成長を描いた大冒険活劇。生き馬の目を抜く世界を生き生きと描いている。

(文藝春秋 1650円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    西武フロントの致命的欠陥…功労者の引き留めベタ、補強すら空振り連発の悲惨

    西武フロントの致命的欠陥…功労者の引き留めベタ、補強すら空振り連発の悲惨

  2. 2
    西武の単独最下位は誰のせい? 若手野手の惨状に「松井監督は二軍で誰を育てた?」の痛烈批判

    西武の単独最下位は誰のせい? 若手野手の惨状に「松井監督は二軍で誰を育てた?」の痛烈批判

  3. 3
    巨人・小林誠司の先制決勝適時打を生んだ「死に物狂い」なLINE自撮り動画

    巨人・小林誠司の先制決勝適時打を生んだ「死に物狂い」なLINE自撮り動画

  4. 4
    全国紙が全国紙でなくなる?「新聞販売店」倒産急増の背景…発行部数の激減、人手不足も一因に

    全国紙が全国紙でなくなる?「新聞販売店」倒産急増の背景…発行部数の激減、人手不足も一因に

  5. 5
    花巻東時代は食トレに苦戦、残した弁当を放置してカビだらけにしたことも

    花巻東時代は食トレに苦戦、残した弁当を放置してカビだらけにしたことも

  1. 6
    日本ハムは過去2年より期待できそう 新外国人レイエスが見せつけた恐るべきパワー

    日本ハムは過去2年より期待できそう 新外国人レイエスが見せつけた恐るべきパワー

  2. 7
    大谷はアスリートだった両親の元、「ずいぶんしっかりした顔つき」で産まれてきた

    大谷はアスリートだった両親の元、「ずいぶんしっかりした顔つき」で産まれてきた

  3. 8
    【中日編】立浪監督が「秘密兵器」に挙げた意外な名前

    【中日編】立浪監督が「秘密兵器」に挙げた意外な名前

  4. 9
    WBCの試合後でも大谷が227キロのバーベルを軽々と持ち上げる姿にヌートバーは舌を巻いた

    WBCの試合後でも大谷が227キロのバーベルを軽々と持ち上げる姿にヌートバーは舌を巻いた

  5. 10
    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗