「自然と営み」日本風景写真協会著

公開日: 更新日:

「歴史の街並」や「山村」など、さまざまなテーマで「遺したい日本の風景」を紹介してきたシリーズの完結編(全10巻)。掉尾を飾る本書では、人々の暮らしと美しい自然が融合した風景にレンズを向ける。

 例えば北海道の美瑛町の秋。広大な畑に刈り取った豆を天日干しするために積み上げた「ニオ」が規則正しく並んでいる。

 ニオのてっぺんにちょこんと雨よけのカラフルなシートがかぶせられたその景色は、ユーモラスでもあり、現代アートのようでもある。

 一転、岩手県遠野市の雪景色の中で、寒さに耐えるように南部藩特有の「曲がり家」がたたずむ作品からは、吹きすさぶ冷たい風の音が聞こえてくるようだ。

 他にも、日本のマチュピチュとも呼ばれる兵庫県朝来市の「竹田城跡」や岡山県高梁市の「備中松山城」など雲海に浮かぶ山城や、奈良県上北山村の奥深い山谷に描かれたループ橋の美しい曲線、そして熊本県阿蘇北外輪山の「天空の道」など、自然と建築物や構造物が一枚の写真の中で競演する。

 しかし、やはり多いのは農山村の風景だ。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    大谷騒動は「ウソつき水原一平におんぶに抱っこ」の自業自得…単なる元通訳の不祥事では済まされない

    大谷騒動は「ウソつき水原一平におんぶに抱っこ」の自業自得…単なる元通訳の不祥事では済まされない

  2. 2
    狙われた大谷の金銭感覚…「カネは両親が管理」「溜まっていく一方」だった無頓着ぶり

    狙われた大谷の金銭感覚…「カネは両親が管理」「溜まっていく一方」だった無頓着ぶり

  3. 3
    米国での評価は急転直下…「ユニコーン」から一夜にして「ピート・ローズ」になった背景

    米国での評価は急転直下…「ユニコーン」から一夜にして「ピート・ローズ」になった背景

  4. 4
    中学校勤務の女性支援員がオキニ生徒と“不適切な車内プレー”…自ら学校長に申告の仰天ア然

    中学校勤務の女性支援員がオキニ生徒と“不適切な車内プレー”…自ら学校長に申告の仰天ア然

  5. 5
    初場所は照ノ富士、3月場所は尊富士 勢い増す伊勢ケ浜部屋勢を支える「地盤」と「稽古」

    初場所は照ノ富士、3月場所は尊富士 勢い増す伊勢ケ浜部屋勢を支える「地盤」と「稽古」

  1. 6
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 7
    水原一平元通訳は稀代の「人たらし」だが…恩知らずで非情な一面も

    水原一平元通訳は稀代の「人たらし」だが…恩知らずで非情な一面も

  3. 8
    「チーム大谷」は機能不全だった…米メディア指摘「仰天すべき無能さ」がド正論すぎるワケ

    「チーム大谷」は機能不全だった…米メディア指摘「仰天すべき無能さ」がド正論すぎるワケ

  4. 9
    「ただの通訳」水原一平氏がたった3年で約7億円も借金してまでバクチできたワケ

    「ただの通訳」水原一平氏がたった3年で約7億円も借金してまでバクチできたワケ

  5. 10
    大谷翔平は“女子アナ妻”にしておけば…イチローや松坂大輔の“理にかなった結婚”

    大谷翔平は“女子アナ妻”にしておけば…イチローや松坂大輔の“理にかなった結婚”