日刊ゲンダイDIGITAL

  • facebook  
  • twitter  
  • google+

「写真家と行く 世界の絶景」谷角靖著

 世界各地で絶景を撮影してきた写真家の著者によると、絶景をより一層美しく見るには、季節や時間帯、太陽の向きも考慮しなければならないという。

 あらゆる視点から「その場所が一番美しく見える」ように撮影することを心掛けてきたという著者が、自らの作品を紹介しながら、誰もが、どんなカメラでもきれいに見え、撮影できるようガイドしてくれる絶景ビジュアルブック。

 例えば、イタリア北西部の半島の付け根、地中海に面した断崖にカラフルなアパート群が立つ「チンクエテッレ」。

 真っ青な海とパステルカラーの建物、小舟が浮かぶ港がつくり出す風景は、5つの村からなるチンクエテッレのヴェルナッツァという村で撮影された作品だ。

 日本からミラノを経由して当地まで行く手順や、撮影ポイントの地図、そして午前中は逆光のため午後遅い時間から夕方が適しているという撮影時間まで、手取り足取りアドバイス。

 さらに、時間がなくて5つの村をすべて回れない場合、訪ねておくべき村の名前まで挙げてくれる。

 タイの「ノンハン湖」は、12月中旬から2月まで、湖一面が地平線まで見渡す限りスイレンの花で埋め尽くされる。羽田からバンコクを経由してウドンタニ空港まで7時間。そこからは公共交通機関がないので、レンタカーを借りて自分で運転して向かうか、現地でツアーに参加するしか訪ねる方法がなく難易度が高い。しかし、その邪魔者が一切視界に入ってこない美しい風景は、天国とはまさにこういうところではないかと思わせる。

 空港から数百キロの砂利道を車で走った先にあるアフリカ南西部ナミビアの「デッドフレイ」では、荒涼としたナミブ砂漠の中に枯れ木が林立する不思議な光景が、訪問者を静かに待っている。

 現代においては南極も、もはや特別な場所ではない。本書でも、すべてが絵になる「ネコハーバー」や「ルメール海峡」の2カ所が取り上げられる。どちらとも日本から空路30時間のアルゼンチン最南端ウシュアイアから、さらにクルーズ船で4~5日かかるそうだが。

 その他、1日20人しか立ち入りが許されていないアメリカ・ユタ州とアリゾナ州の州境にある「ウェーブ」、世界三大仏教遺跡のひとつに数えられるミャンマーのバガン、氷河から崩落した氷山が流れるグリーンランド・イルリサットの海など世界各地の58の絶景を紹介する。

 どこの場所も「いつかは」と思わせる魅力的な絶景ばかり。たとえ行くのがかなわなくとも、書籍代だけで世界中を旅して眼福が味わえるお薦め本。(青菁社 1700円+税)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のBOOKS記事