野地秩嘉
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野地秩嘉ノンフィクション作家

1957年、東京生まれ。早稲田大学商学部卒。出版社勤務などを経てノンフィクション作家に。人物ルポルタージュや食、芸術、文化など幅広い分野で執筆。著書に「サービスの達人たち」「サービスの天才たち」『キャンティ物語』「ビートルズを呼んだ男」などがある。「TOKYOオリンピック物語」でミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。

<第6回>組合も納得させた「唐獅子牡丹」の美しさ

公開日: 更新日:

昭和残侠伝 (1965年・東映)】

 同作品は第2次世界大戦が終わった後の東京、浅草を舞台にした任侠映画シリーズの第1作だ。任侠映画としては前年に公開された「日本侠客伝」の方が先で、そちらもシリーズ化された。「昭和残侠伝」は全9作。「日本侠客伝」は全11作になっている。

あの頃は1年に15本の映画に出た」と、高倉健本人が語っていたが、2週間程度で撮影を終えると、次の作品が待っているといった状態だった。

 このふたつのシリーズはいずれも「任侠の健さん」を観賞する映画であり、役どころもストーリーも似ている。

 業界の腐敗、ライバルの横暴、謀略などに我慢に我慢を重ねた主人公が最後には爆発して、立ち回りになる。いずれもそんな展開だが、ただ、出てくる共演者によって、本人のやる気が違っているように見える。

「昭和残侠伝」は映画評論家にしてみれば類型的プログラムピクチャー(量産映画)だろう。しかし、高倉健ファンならば見落としてはいけない一本だ。

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