野地秩嘉
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野地秩嘉ノンフィクション作家

1957年、東京生まれ。早稲田大学商学部卒。出版社勤務などを経てノンフィクション作家に。人物ルポルタージュや食、芸術、文化など幅広い分野で執筆。著書に「サービスの達人たち」「サービスの天才たち」『キャンティ物語』「ビートルズを呼んだ男」などがある。「TOKYOオリンピック物語」でミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。

<第22回>拷問シーンで本当に痛がっている顔は必見

公開日: 更新日:

【ゴルゴ13 (1973年・東映)】

 さいとう・たかを原作の劇画ゴルゴ13を実写映画にしたものだ。見る前は不安だった。

「ゴルゴ13は劇画だから面白いのではないか。それを実写にして、まして高倉健が主演するなんて……。それでいいのか」

 そう思って見たのだが……。これが意外に面白かったのである。

 奇妙な映画ではある。しかし、一見の価値はある。なんといっても、この映画はイランでオールロケを行っている。イランの首都テヘラン、第2の都市イスファハン、そして砂漠地帯。日本は一切出てこない。そのうえ、出演者は高倉健以外、すべてイラン人である。「よくまあ、こんな映画が実現したものだ」とため息が出た。

 舞台はホメイニ師によるイスラム革命前のイランである。出演者たちは酒も飲むし、ナイトクラブで遊びもする。イランの美人(といっても男っぽい顔)は肌を見せてベッドシーンもやる。戒律の厳しい現在のイランでは考えられない映画だ。

 高倉健は現場で相当、苦労しただろうが、画面では堂々としている。また、わたり合うイラン人男優、女優も堂々とした風格で演技している。堂々とした俳優たちが見えを切る、イラン版歌舞伎のような映画だ。

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