ラリー遠田
著者のコラム一覧
ラリー遠田お笑い評論家

1979年、愛知県名古屋市生まれ。東大文学部卒。テレビ番組制作会社勤務を経てフリーライターに。現在は、お笑い評論家として取材、執筆、イベント主催、メディア出演。近著に「お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで」(光文社新書)などがある。

ピース又吉&綾部は足りないモノを補い合う“理想の関係”

公開日: 更新日:

【連載コラム 2016新春「笑」芸人解体新書】

 2015年、芥川賞受賞という芸人初の快挙によってお笑いの歴史にその名を刻んだピースの又吉直樹(35)。もともと読書好きとして知られ、文学に対する偏愛ぶりには定評があり、それに関連した仕事も多かったのだが、デビュー作で芥川賞を取ったのはさすがに衝撃的だった。

 ただ、世の中はまだこの男の価値を測りかねている。何しろ得体が知れないのだ。

 賞を取ってもあからさまに調子に乗ったりするわけでもなく、今まで通り淡々としている。芸人なのにテレビに出てもハシャいだりせず、前に出ようとしない又吉の姿を見て「すっかり作家先生気取りだ」などと揶揄する向きもあるが、彼がおとなしいのは以前までと変わらない。我先にと隙間を狙ってグイグイ前に出ようとする若手芸人ばかりが目立つ中で、又吉のたたずまいは異彩を放っている。

 物静かに見えるのは言葉というものに対して人一倍、誠実だからだ。彼のような文学的感度の高い人間は言葉に敏感すぎるので、しゃべっている時にも無意識のうちに、自分の思いを正確に伝えるための表現を探し求めてしまう。その結果、他の芸人よりもワンテンポ遅れたゆったりした話し方になってしまうだけなのだ。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    大谷の「新・代理人枠」狙い大物エージェントが虎視眈々…争奪戦勃発は待ったなし

    大谷の「新・代理人枠」狙い大物エージェントが虎視眈々…争奪戦勃発は待ったなし

  2. 2
    阪神・大山悠輔 今季中にFA権取得見込みであるのか? まさかの巨人流出…ロッテ、楽天も虎視眈々

    阪神・大山悠輔 今季中にFA権取得見込みであるのか? まさかの巨人流出…ロッテ、楽天も虎視眈々

  3. 3
    大谷「英語力」格段向上の皮肉とプラス効果 元通訳・水原容疑者の裏切りが副産物を生んだ

    大谷「英語力」格段向上の皮肉とプラス効果 元通訳・水原容疑者の裏切りが副産物を生んだ

  4. 4
    小室圭さん年収4000万円でも“新しい愛の巣”は40平米…眞子さんキャリア断念で暇もて余し?

    小室圭さん年収4000万円でも“新しい愛の巣”は40平米…眞子さんキャリア断念で暇もて余し?

  5. 5
    水原一平容疑者は刑務所に何年ブチ込まれる? 違法賭博発覚への「妨害工作」次々判明

    水原一平容疑者は刑務所に何年ブチ込まれる? 違法賭博発覚への「妨害工作」次々判明

  1. 6
    長渕剛の大炎上を検証して感じたこと…言葉の選択ひとつで伝わり方も印象も変わる

    長渕剛の大炎上を検証して感じたこと…言葉の選択ひとつで伝わり方も印象も変わる

  2. 7
    メジャー29球団がドジャースに怒り心頭! 佐々木朗希はそれでも大谷&由伸の後を追うのか

    メジャー29球団がドジャースに怒り心頭! 佐々木朗希はそれでも大谷&由伸の後を追うのか

  3. 8
    福原遥が挑むNHK朝ドラ&大河W主演「歴代4人の超難関」への道…まずは2025年「べらぼう」出演

    福原遥が挑むNHK朝ドラ&大河W主演「歴代4人の超難関」への道…まずは2025年「べらぼう」出演

  4. 9
    若林志穂が語った昭和芸能界の暗部…大物ミュージシャン以外からの性被害も続々告白の衝撃

    若林志穂が語った昭和芸能界の暗部…大物ミュージシャン以外からの性被害も続々告白の衝撃

  5. 10
    若林志穂さん「生活保護受給」をXで明かす…性被害告発時のアンチ減り、共感者続出のワケ

    若林志穂さん「生活保護受給」をXで明かす…性被害告発時のアンチ減り、共感者続出のワケ