菊之助は大役抜擢 歌舞伎座で「重鎮vs若手」ガチンコ対決
何かと話題の絶えない歌舞伎界だが、肝心の舞台も見逃せない展開となっている。もっか、歌舞伎座では、実地教育という名の重鎮VS若手の“ガチンコ勝負”が繰り広げられているのだ。
9月の歌舞伎座は「秀山祭」(~25日)と銘打たれる興行だ。「秀山」は初代中村吉右衛門の俳名で、吉右衛門の生誕120年にあたる2006年、その業績を顕彰するために当代(二代目)吉右衛門が始め、今年で10周年となる。
初代吉右衛門は当時としては長寿で、68歳で亡くなり、当代の吉右衛門はいま72歳なので年齢では初代を抜いた。一般的にも後継者のことを考える年齢だろう。当初の秀山祭は吉右衛門が初代の芸を継いだことを披露する場だったが、ここ数年は次の世代へ芸を伝える場にもなっている。吉右衛門の近しい若い世代が共演者に起用され、同じ舞台に立ち芸を間近に見せることで伝えていく場なのだ。
吉右衛門が伝えようとしている次世代の代表が、甥である市川染五郎と娘の夫である尾上菊之助(39)だ。最近はとくに菊之助が重用され、今月も昼の部「一條大蔵譚」と夜の部「吉野川」の2演目で大役に抜擢された。