井筒和幸
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井筒和幸映画監督

1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

東電よ!…罪を思うなら毎日燃料プールの様子を放映しろ

公開日: 更新日:

「怒りなんて通り越して、呆れて何も言えない。大事故を起こしたことを忘れてしまってるのか」

「バカにしている」

 と、放射能にまみれた福島県双葉町などに帰れないでいる人たちが嘆いているのに、やつらはどんな了見でインスタグラムやツイッターにわざわざあんなふざけた投稿しやがったのか。もしも、オレが地元の避難者なら、本社に乗りこんでって怒鳴りつけていたところだ。

 やつらとは、東京電力だ。

 東電は自らの公式アカウントで、福島第1原発あの地獄のような建屋の内部を写した画像に、「4号機、燃料プール」とタイトルを載せ、「#工場萌え」なんていう、ふざけたハッシュタグまで付けて画像を投稿していたのだ。最上階のプールから使用済み燃料は取り出され、安定しているとか東電の広報室は勝手に言っているが、実は、そんな現状説明も何も書かれていないのだ。

 工場が「萌え」? 地獄のプール水のどこに心が躍るというんだ。避難して帰れない元住民の心だけでなく、日本中の原発を始末してほしい人全員の気持ちを逆なでする不届き千万な「萌え」言葉。何があくまで写真を見てもらいたいだ。何が広報活動だ。何が廃炉の現状だ。何を多くの人に知っていただきたいのか。汚染水タンク群の奥に太陽光が差している写真など、美しくも何ともない。それは地球上で最も恐ろしく、最も見苦しい、文明の欲の果てに生まれた地獄画像だ。廃虚ツアー大好きオタクらに気に入ってもらいたいのか。「#萌え」タグ付きに、安倍内閣のイエスマン、世耕経産大臣も「ユーモアを見せるのも悪くない」とほざく始末。おまえは何者のつもりなんだ。こんなクソなセンスのやつが大臣をしてるから、この国はカッコ良くなれないのだ。「プールから使用済み燃料が取り出され、安定している状態」とは一体、どういう意味か。毒がどこまで掃除され、どこまで解決したのか、「福島第1地獄」は限りなく怪しいだけだ。

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