宮本亞門さん「私が一番心配なのは国民の心が折れること」

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「亞門ちゃん若いね。そんなド正直な考え方で世の中は成り立ってないよ」

 それからです、透明性のない現実の恐ろしさを知ったのは。お金や利権の場所に集まる人はいます。でも、五輪は美辞麗句を盾にした、生半可じゃない利権だらけの集合体だったのです。

 途上国に対する対応や、反対意見を聞かない独裁的な判断。IOCこそが選手を守るべきはずなのに、選手も不安を感じながら、コロナ禍の強引なルールで厳しく取り締まられる。

 もう一度、言います。なぜコロナ禍の今、五輪を行われなくてはならないのですか?

 コロナによって亡くされたご家族の思いは、一人でも同じような悲しみを味わって欲しくないはずです。この世界中が苦しんだコロナ禍の一年、我々は何を学んできたのでしょう?

 僕は、どんな宣誓が行われようと、誰が金メダルを取ろうと、何も感じないと思います。それがとても残念です。

▽宮本亞門(みやもと・あもん) 1958年1月4日生まれ。63歳。東京都出身。両親が新橋演舞場前で喫茶店を営んでいた影響で、幼い頃から演劇に親しむ。87年に演出家デビュー。2004年、東洋人初の演出家としてニューヨークのオン・ブロードウェイにてミュージカル「太平洋序曲」を上演し、トニー賞4部門でノミネート。今年4月、スペイン風邪のパンデミック禍を生きた女優、松井須磨子を題材にしたリーディング演劇「スマコ」をYouTubeで無料公開。

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