CS突破もマー君は憮然… リスクが大きすぎたストッパー起用

公開日: 更新日:

 その瞬間、満員のスタンドがどよめいた。
 楽天3点リードの九回、星野監督が審判に投手交代を告げると、エースの田中がマウンドに上がった。田中は2安打を許しながらも無失点で切り抜け、球団史上初の日本シリーズ進出を決めた。

 星野監督は1点差だった八回にも、2戦目に先発したルーキーの則本を投入。

「(田中の継投は)絵を描きすぎだと思ったけど、まあ、抑えてくれたらええわ」

 と悦に入っていたが、それにしてもこの2人を使う必要はあったのか。楽天はリリーフ陣が脆弱(ぜいじゃく)とはいえ、この日負けても2敗目。CSファイナルステージは4戦先勝。まだ余裕はあった。しかも、22日の先発予定は田中だった。

 評論家の小川邦和氏は「田中を胴上げ投手にするためのファンサービスという考え方もありますが……」と言ってこう続ける。

「それでも短期決戦は油断禁物。ちょっとしたことでゲームの流れや展開が変わることもある。ところが、星野監督はまるで『今日は絶対に勝てるから田中を使おう』といった采配だった。もし、田中や則本が打たれたら、チームのムードは一変する。解説の野村克也さんが『マー君にいつものような球の伸びがない』と話していたのも気になりますね。得点は許さなかったものの、連打を浴びて一発が出れば同点という場面もつくった。こんな終わり方だと次の登板にも影響しかねない。田中のストッパー起用はリスクが大きかったですね」

 田中は試合後、「いろいろ思うところはある。言えることと言えないことがある。ただ、結果的にゼロに抑えてよかった」と、喜ぶどころか憮然とした表情。26日からの日本シリーズが心配だ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    大谷騒動は「ウソつき水原一平におんぶに抱っこ」の自業自得…単なる元通訳の不祥事では済まされない

    大谷騒動は「ウソつき水原一平におんぶに抱っこ」の自業自得…単なる元通訳の不祥事では済まされない

  2. 2
    狙われた大谷の金銭感覚…「カネは両親が管理」「溜まっていく一方」だった無頓着ぶり

    狙われた大谷の金銭感覚…「カネは両親が管理」「溜まっていく一方」だった無頓着ぶり

  3. 3
    米国での評価は急転直下…「ユニコーン」から一夜にして「ピート・ローズ」になった背景

    米国での評価は急転直下…「ユニコーン」から一夜にして「ピート・ローズ」になった背景

  4. 4
    中学校勤務の女性支援員がオキニ生徒と“不適切な車内プレー”…自ら学校長に申告の仰天ア然

    中学校勤務の女性支援員がオキニ生徒と“不適切な車内プレー”…自ら学校長に申告の仰天ア然

  5. 5
    初場所は照ノ富士、3月場所は尊富士 勢い増す伊勢ケ浜部屋勢を支える「地盤」と「稽古」

    初場所は照ノ富士、3月場所は尊富士 勢い増す伊勢ケ浜部屋勢を支える「地盤」と「稽古」

  1. 6
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 7
    水原一平元通訳は稀代の「人たらし」だが…恩知らずで非情な一面も

    水原一平元通訳は稀代の「人たらし」だが…恩知らずで非情な一面も

  3. 8
    「チーム大谷」は機能不全だった…米メディア指摘「仰天すべき無能さ」がド正論すぎるワケ

    「チーム大谷」は機能不全だった…米メディア指摘「仰天すべき無能さ」がド正論すぎるワケ

  4. 9
    「ただの通訳」水原一平氏がたった3年で約7億円も借金してまでバクチできたワケ

    「ただの通訳」水原一平氏がたった3年で約7億円も借金してまでバクチできたワケ

  5. 10
    大谷翔平は“女子アナ妻”にしておけば…イチローや松坂大輔の“理にかなった結婚”

    大谷翔平は“女子アナ妻”にしておけば…イチローや松坂大輔の“理にかなった結婚”