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野坂昭特集

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【特別再録】野坂昭如ノーリターン


そんな旧時代の中に、突如として戦後の風を吹きこんだのが、野坂昭如の登場だった。 〈黒眼鏡の作家〉 〈プレイボーイ〉 などと、いかにもイカガワしさを身にまとって、野坂昭如は登場した。文壇の新人類といった感じだったのだ。吉行淳之介さんなどは、最初から好意的だったけど、それなりの風当りも強かったように思う。いわゆる良風美俗に対する反抗者として世にはばかるというのが、彼のスタイルだったからである。 そ…

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連載9827回 野坂昭如ノーリターン


そんな旧時代の中に、突如として戦後の風を吹きこんだのが、野坂昭如の登場だった。 〈黒眼鏡の作家〉 〈プレイボーイ〉 などと、いかにもイカガワしさを身にまとって、野坂昭如は登場した。文壇の新人類といった感じだったのだ。吉行淳之介さんなどは、最初から好意的だったけど、それなりの風当りも強かったように思う。いわゆる良風美俗に対する反抗者として世にはばかるというのが、彼のスタイルだったからである。 そ…

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連載9828回 野坂昭如ノーリターン


野坂昭如と私は、いつも違う意見をもっていた。お互いの小説観のちがいというか、作品への評価のスタンスがちがうのだ。 ふだんは早口で機関銃のように話す野坂昭如は、選考の席では比較的無口なことが多かった。 ときどき皮肉な口調で短い言葉をはさむ。それがまことに核心を射抜いた寸言なので、苦笑しながらも同意せざるをえないところがあった。 私たちは選考委員の中では、当時は若手といってもよく、老大家がたからはど…

傑作撰を締める「野坂に逢ってやってください」の言葉


70年代前半、学園祭でもっとも人気があったのが他ならぬ野坂昭如であった。中でも女子大から声がよくかかった。 「黒の舟唄」「マリリン・モンロー・ノー・リターン」という名曲がレパートリーにあったのも凄い。1972年、私が買ったLP「鬱と躁」は、野坂昭如が持ち歌の「バージン・ブルース」の一節、「ジンジンジンジン血がジンジン」と歌うたびに女子大生たちの嬌声が交じる、女子大ライブが収録されていた。 昭和…

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連載9825回 野坂昭如ノーリターン


私と野坂昭如の連続対談のシリーズである。雑誌「話の特集」に連載したものを『対論』と名づけて講談社から出版されたのである。当時の定価390円というのは、四六軽装版にしても安い。これが何十万部か売れたのだから、いまの出版界とは今昔の感あり。 その『対論』のなかで、一度だけ酔った私が彼にからんだことがあった。『服装』というテーマで語り合った時のことだ。その対談の話のきっかけは、彼が直木賞をもらった記念…

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連載9824回 野坂昭如ノーリターン


それを眺めてみると、このシリーズだけでも、圧倒的に多いのは野坂昭如の名前である。その中から1976年4月29日の『流されゆく日々』の文章を再録してみることにする。約40年ほど前に書いたものだ。 〈ワイセツ裁判への感想 野坂昭如被告に対する罰金の判決が出た。ワイセツの問題を政治の力で取りしまることの滑稽さは自明の理だが、といって居丈高に検察の無理解さをののしる気はない。 もともと権力とはそういう…

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連載9823回 野坂昭如ノーリターン


しかし、電話で野坂昭如さんの訃報を知らされたので、とりあえずその事を書く。 野坂さんと私は、ほぼ同じ時期に直木賞をもらった昭和ヒトケタ世代の物書きである。文芸ジャーナリズムに登場したのは、彼のほうが早い。『エロ事師たち』という卓抜な作品で一気に注目を集めた。 当時、中間小説誌といわれた雑誌が活気があった60年代の事である。「オール読物」「小説新潮」、そして「小説現代」などが野坂氏や私たちの仕事の…

「男の詫び状」野坂昭如著


平成15年に脳血栓で倒れてから、長期にわたってリハビリのかたわら執筆を続け、昨年末に亡くなった野坂昭如。本書は、そんな野坂が「通販生活」の紙上で交友のあった著名人との間に交わしたやりとりを単行本化したもの。岸田今日子、妹尾河童、阿川佐和子、吉永小百合、小沢昭一、永六輔、筒井康隆、横尾忠則らからの病気見舞いとして書かれた手紙に、野坂が闘病を感じさせないキレのある返答で応えていく。 たびたび手紙に書…

昨年12月に亡くなった野坂昭如氏

野坂昭如氏も危惧していた 日本の政治状況は崖っぷちにある


例えば、「元祖プレーボーイ」と呼ばれ、作家であり作詞家の野坂昭如氏は昨年12月9日に亡くなる2日前、TBSラジオでこう発言していた。 「たった一日で平和国家に生まれ変わったのだから、同じく、たった一日で、その平和とやらを守るという名目で、軍事国家、つまり、戦争をすることにだってなりかねない」 「花の画家」の異名を持つ日本画家の堀文子さんも昨年、NHKテレビで「日本が危険な瀬戸際。物事が崩れ始める…

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連載9826回 野坂昭如ノーリターン


今後もたぶん若い読者が目にする機会はないと思うので、もう少し野坂昭如の発言を引用しておこう。 野坂 ぼくは金がなければ相手をくどけないっていうんじゃなくて、相手にお金を上げなければとても安心できないってところがある。普通に女の子とつきあう時でも、常に何か物を上げないと駄目なようなところがある。物を上げるのはよくてお金はいけないっていう古い躾がぼくの中にあるんだ。街で女の子をひっかけた場合でも、デ…

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