「好辞苑」高井ジロル著
<名だたる辞書から“アノ”言葉をピックアップ!>
あなたは覚えているだろうか。性に目覚めた思春期真っただ中、国語の授業中に辞書を手に取り、「性交」などのエッチな言葉をこっそり調べたときの高揚感を。
高井ジロル著「好辞苑」(幻冬舎 1300円)では、“中2男子目線”でいやらしそうな言葉をピックアップし、その語釈をさまざまな辞書別に紹介している。青春時代の淡いスケベ心と、大人の知的好奇心を同時に満たしてくれる、バカバカしくもアカデミックな読み物だ。
例えば「性交」という言葉。「広辞苑」「日本国語大辞典」「デイリーコンサイス国語辞典」では、いずれも「男女が性的交わりをすること」とされている。男同士、女同士の交わりは「性交」と認めないというスタンスだろうか。
性別に言及せず、「性的交わり、肉体の交わり」としているのは、数ある辞書の中でも
「大辞泉」のみだったという。さらに「新明解国語辞典」では、「成熟した男女が時を置いて合体する本能的行為」としている。未熟な男女が出会ってすぐに合体するのはよろしくない、という踏み込んだ解釈だ。一方、別の意味で踏み込んでいるのが「机上辞典」。