「ヴィジュアル歴史図鑑 世界の鉄道」フランコ・タネル著、黒田真知、田中敦訳、岩田斎肇
■写真を見ているだけでワクワクする鉄道歴史図鑑
人類の歩みと切り離すことができない鉄道の歴史を一望する豪華ビジュアル図鑑。
蒸気機関車の発明は、イギリスのジョージ・スティーブンソンとされ、その栄誉を彼が独占してきた。彼が最初に製造した蒸気機関車は、1814年ごろにキリングワース炭鉱で使用され、40トン以上の石炭を積んだ8台の貨車を引いて4マイルの坂を上る能力があったという。
しかし、実はその10年前にリチャード・トレビシックという技術者が最初の蒸気機関車を世に送り出していた。彼は自分の発明を広く伝えるためにロンドンの広場に円形の線路を敷いて、集まった観客に試乗までさせた。
そうした前史に始まり、英国で成功を収めた鉄道がまたたく間に伝播(でんぱ)しての各国の鉄道事始め、長距離化にともなう寝台車や食堂車の登場、長大なオリエント急行やシベリア横断鉄道の開通、第2次世界大戦と鉄道との関係、電車やディーゼル機関車の台頭、そして現代の各国の高速鉄道状況まで。
自動車の登場によって、一時は圧倒的な窮地に陥ったが、環境への関心とともに再び投資が始まったその200年に及ぶ変遷をたどる。