「新・世界怪魚釣行記」武石憲貴著
■怪魚とのファイトを求め世界を行脚
「釣りざお片手に、世界の水辺のヌシに会いに行く!」との思いを抱き続けて15年、5大陸37カ国を釣り旅してきた著者によるフォト紀行。2冊目となる本書には、09年から13年までの4年間の旅を記録する。
09年夏、南米に降り立った氏は、6年前の訪問時にはかなえられなかった怪魚「ドラード」を釣るため、パラグアイのパラナ川を目指す。スペイン語で黄金を意味する「ドラード」は金色の美しい体を持つ最大1メートルを超える魚だ。
ろくに言葉も分からず、バスで乗り合わせたおばちゃんが心配して宿に連れていってくれ、宿の主人に何とかガイド役の漁師に船を出してもらう算段をつける。
幅2キロのパラナ川に酔っぱらい漁師が操る頼りない小舟で繰り出した氏の前に現れたドラードは、俊敏で不規則な遊泳と華麗な跳躍を駆使して、巧みに針を外して釣り人を翻弄。しかし、最終日には見事、メートル超えのドラードを釣り上げる。
続くブラジルでは、アマゾン川の支流シングー川でシーラカンスの淡水版のような「タライロン」を、その他、アメリカのテキサス州トリニティ川ではワニのような2メートル超えの「アリゲーターガー」や、横幅2メートル、尾の長さを含めた全長が4メートルを超えるタイの巨大エイ「プラー・クラーベン」、カザフスタンのイリ川では巨大な「ヨーロッパナマズ」、そしてカリブ海コロラド川河口での「アトランティック・ターポン」など。見たこともない巨魚たちとの壮絶なファイトを臨場感たっぷりにつづる。