現場はピリピリ 金子修介監督と撮影で大モメした織田裕二
ー1993年9月ー
「踊る大捜査線」シリーズで15年にわたって主役を務めた織田裕二。20代では主演映画の監督と大モメする事件があった。
1993年9月に発売された雑誌「シナリオ」10月号に、金子修介監督(当時38)が「『卒業旅行 ニホンから来ました』演出ノート――にっちもさっちもどうにもブルドッグ」という手記を寄せた。
これはメガホンを取った当時公開中の映画「卒業旅行 ニホンから来ました」の製作裏話。「この映画に関わった人々に若い俳優ひとりコントロールできなかった僕の非力を、誌面を借りて、お詫びしたい」と締めくくられ、織田(当時25)への批判が骨子だった。
「卒業旅行」は東南アジアの架空の小国を旅行する冴えない大学生が、現地でスターになってしまうコメディー。撮影はほぼ全編タイで行われた。織田と金子監督は91年の映画「就職戦線異状なし」でもコンビを組み、気心が知れていたが、冒頭からつまずく。