野地秩嘉
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野地秩嘉ノンフィクション作家

1957年、東京生まれ。早稲田大学商学部卒。出版社勤務などを経てノンフィクション作家に。人物ルポルタージュや食、芸術、文化など幅広い分野で執筆。著書に「サービスの達人たち」「サービスの天才たち」『キャンティ物語』「ビートルズを呼んだ男」などがある。「TOKYOオリンピック物語」でミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。

<第15回>政治家よりも経済人よりも日中友好に寄与した

公開日: 更新日:

【単騎、千里を走る。 (2006年・東宝)】

 北京オリンピックの開会式を演出したチャン・イーモウ監督の作品。チャン監督作品は「紅いコーリャン」「あの子を探して」「初恋のきた道」なども知られている。

 この映画高倉健が出演したなかではあまり評価されていない。公開時は反日デモがあったため、日本国内で中国映画を敬遠する雰囲気があった。そのため、この映画はヒットしたとはいえない。

 しかし、わたしはこの作品は高倉健がやりたくてたまらなかったものであり、それだけに彼の気が入った作品だと思っている。

 チャン監督は高倉健の出演を熱望した。それは事実だ。だが、高倉健もまたチャン監督のファンであり、「一度は一緒に仕事をしたい」と願っていたのである。チャン監督の一方的な熱情に動かされて出演したわけではない。

 ふたりの間では脚本のやりとりが2000年から続いていた。撮影が始まったのは05年。時間をかけて脚本を練り直し、そして、完成した映画である。

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