震災から4年 膨大な記録を貴重な“記憶”としてどう生かすか

公開日: 更新日:

【連載コラム「TV見るべきものは!!」】

 東日本大震災から4年。もう4年なのか、それともまだ4年なのか。その印象は被災地と、それ以外の地域で大きく異なる。特にテレビなどメディアを通じて震災と向き合ってきた人たちの中で、風化が急速に進んでいる。

 今年も3月11日を中心に、いわゆる震災関連番組が何本も流された。何があったのかを忘れないために、また今どうなっているのかを知るためにも必要な取り組みだ。

 先週11日に放送された、NHKスペシャル「“あの日の映像”と生きる」。当時撮影された津波の映像が、それを撮った人、映った人、そして見た人に、どんな影響を及ぼしているのかを伝えていた。たとえば陸前高田市の男性は、カメラを回していた自分が、映っている老人を助けられなかったことを後悔していた。だが、その老人の息子は、父親の生前最期の様子を知ることで、精神的に救われたと語っている。

 また瓦礫と共に流された夫婦は、自分たちが映っている映像を見ることで、“生かされた”意味を考えたという。現在は学校などに出向き、その凄絶な体験を語るボランティア活動を続けている。

 思えば東日本大震災は、メディアだけでなく、住民のデジカメや携帯電話によって膨大な映像が撮影された災害だった。それらを記録として残すだけでなく、貴重な“記憶”として生かしていくことが必要なのだ。
(上智大学教授・碓井広義=メディア論)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    センバツ人気低迷の真犯人!「スタンドガラガラ」なのは低反発バット導入のせいじゃない

    センバツ人気低迷の真犯人!「スタンドガラガラ」なのは低反発バット導入のせいじゃない

  2. 2
    三田寛子ついに堪忍袋の緒が切れた中村芝翫“4度目不倫”に「故・中村勘三郎さん超え」の声も

    三田寛子ついに堪忍袋の緒が切れた中村芝翫“4度目不倫”に「故・中村勘三郎さん超え」の声も

  3. 3
    若林志穂が語った昭和芸能界の暗部…大物ミュージシャン以外からの性被害も続々告白の衝撃

    若林志穂が語った昭和芸能界の暗部…大物ミュージシャン以外からの性被害も続々告白の衝撃

  4. 4
    (6)「パンツを脱いできなさい」デビュー当時の志穂美悦子に指示したワケ

    (6)「パンツを脱いできなさい」デビュー当時の志穂美悦子に指示したワケ

  5. 5
    夏の甲子園「朝夕2部制」導入の裏で…関係者が「京セラドーム併用」を絶対に避けたい理由

    夏の甲子園「朝夕2部制」導入の裏で…関係者が「京セラドーム併用」を絶対に避けたい理由

  1. 6
    井上真央ようやくかなった松本潤への“結婚お断り”宣言 これまで否定できなかった苦しい胸中

    井上真央ようやくかなった松本潤への“結婚お断り”宣言 これまで否定できなかった苦しい胸中

  2. 7
    マイナ保険証“洗脳計画”GWに政府ゴリ押し 厚労相「利用率にかかわらず廃止」発言は大炎上

    マイナ保険証“洗脳計画”GWに政府ゴリ押し 厚労相「利用率にかかわらず廃止」発言は大炎上

  3. 8
    「大谷は食い物にされているのでは」…水原容疑者の暴走許したバレロ代理人は批判殺到で火だるまに

    「大谷は食い物にされているのでは」…水原容疑者の暴走許したバレロ代理人は批判殺到で火だるまに

  4. 9
    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

  5. 10
    大谷は口座を3年放置のだらしなさ…悲劇を招いた「野球さえ上手ければ尊敬される」風潮

    大谷は口座を3年放置のだらしなさ…悲劇を招いた「野球さえ上手ければ尊敬される」風潮