“番宣目的”の若手ばかり…テレビ各局「終戦特番」を振り返る

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 70回目という節目を迎えた今年の終戦記念日。テレビ各局は戦争関連のドキュメンタリー特番を増やして挑んだが、揃いも揃って10~30代前半の旬の若手役者を“客寄せ”に起用する内容ばかり。戦争体験の風化が叫ばれる中、無関心な若者たちに番組視聴を促すには“若者代表”の人気俳優を起用すればいい――そんな企画書が目に浮かんでくるようだった。

 終戦記念日当日と翌16日の2日間のプライム帯(19~23時)に放送された戦争関連のドキュメンタリーは計5番組。その中で最も数字を稼いだのは、「嵐」の二宮和也(32)を起用したNHKスペシャル「“終戦”知られざる7日間」の9.3%だった。二宮は映画「硫黄島からの手紙」(06年)に続き、今年12月には長崎の原爆投下をテーマにした映画「母と暮せば」(吉永小百合主演)への出演が控えている。番組ではこういった経歴とともに戦争に向き合う若手俳優の代表格として二宮を紹介したが、ま、早い話、Nスペは今冬の映画宣伝を兼ねての出演というわけだ。

 コラムニストの桧山珠美氏が言う。

「二宮に限らず、フジでは月9主演の福士蒼汰(22)を起用するなど“番宣目的”の役者が複数見受けられました。ただ、こうして若手の役者を起用して良質な番組が作れるかといえば、甚だ疑問です。綾瀬はるか(30)と同じ番組でMCをした久米宏(71)でさえ、具体的な戦争を知らない世代なのに、収録前に十分な知識を身につけるのもままならない多忙な旬の若手俳優たちがインタビュアーに立ち、どれだけ悲惨な体験談を聞き出すことができるのか。戦争経験者の生の声を取材するのが年々困難さを増していく中で、この70周年の戦争特番は貴重なVTRになる。いずれの番組でも相づちを打つのが精いっぱいというケースが散見され、食い足りないと感じる場面が多くありました。その点、現地ロケなどには絡めず、進行役に徹して起用した二宮のNスペは上手なやり方だったと思います」

 メンツだけ揃えれば万事OK――そんな番組作りを続けているようでは、ますます視聴者の心は離れていくばかりだ。

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