「あなたの番です」も…“猟奇殺人犯”が多用されるワケ
犯人を猟奇殺人犯にしておけば、コンプライアンスがどうだ、ポリティカル・コレクトネスがどうだ、とかに頭を悩ませる必要もなくなる。
「サイコパスという言葉自体あまり知られていなかった時代に、ゼロからレクター博士をつくり上げたアンソニー・ホプキンスはさすがですが、今は猟奇殺人犯の演技のお手本がいくらでもある。演者も楽でしょう。ただ、犯行がバレた途端に狂ったように高笑いする犯人が多いのはいかがなものか……。いずれにせよ猟奇殺人犯に頼りすぎ、動機など心理描写の部分をおろそかにしていると、日本のドラマも映画も深みがなくなるばかりです」(前田有一氏)
もちろん、2017年公開の映画「三度目の殺人」(是枝裕和監督)のように猟奇殺人犯に頼らない秀作もあるが、それは役所広司や広瀬すずの演技力があってこそか。