二田一比古
著者のコラム一覧
二田一比古ジャーナリスト

福岡県出身。大学卒業後、「微笑」(祥伝社)の記者に。その後、「Emma」「週刊文春」(ともに文芸春秋)をはじめ、多くの週刊誌、スポーツ新聞で芸能分野を中心に幅広く取材、執筆を続ける。フリー転身後はコメンテーターとしても活躍。

昭和の俳優はビクともせず…不倫取材の核は「本妻」にあり

公開日: 更新日:

「好感度」が頼りのテレビタレント。不倫スキャンダル発覚は好感度を失い謹慎生活を余儀なくされ、仕事まで失う。アンジャッシュ渡部建のように「いい人ね」の虚像イメージをつくり過ぎて墓穴を掘るパターンだ。

 昭和の俳優は不倫ぐらいではビクともしなかった。三船敏郎・松方弘樹クラスのスターになると「それがどうした」と言わんばかり。三船に直撃取材など腰が引けたものだった。不倫の核となる取材は本来、本妻にある。三船は女優だった喜多川美佳と不倫関係になり同居生活を送るまでになっていた。

 娘(タレントの三船美佳)も生まれ、三船は本気で結婚を考え、本妻に離婚を求めていた。本妻はかたくなにこれを拒否。私はもっぱら目黒に住む本妻の取材をしていた。定点観測的に家を訪ねては離婚の推移などを探った。

「また来たのかい。何もないよ」と最初は門前払いだったのが、通い続ければ次第に心も和む。玄関の横から入り庭に案内され、縁側で世間話をするまでになっていた。

 取材とはいかに相手と意思疎通を図れるまでの信頼関係を築けるかにある。すでに別の家庭をつくっている夫に対して「どうして離婚しないのか」が理解できずにいた。ある日、縁側から三船が好きだったという庭を見つめながらポツンとこう呟いた。

「別に財産や慰謝料を多くもらいたいわけではない。妻としての意地です。『世界の三船の妻』という肩書は簡単に渡せない」

 妻の座の重さを知るようだった。この言葉だけで取材の成果はあった。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    花巻東時代は食トレに苦戦、残した弁当を放置してカビだらけにしたことも

    花巻東時代は食トレに苦戦、残した弁当を放置してカビだらけにしたことも

  2. 2
    「ダルよりすごい」ムキムキボディーに球団職員が仰天!プロ3、4年目で中田翔より打球を飛ばした

    「ダルよりすごい」ムキムキボディーに球団職員が仰天!プロ3、4年目で中田翔より打球を飛ばした

  3. 3
    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

  4. 4
    22年は尻回りが推定1.5倍に増大、投げても打ってもMLBトップクラスの数値を量産した

    22年は尻回りが推定1.5倍に増大、投げても打ってもMLBトップクラスの数値を量産した

  5. 5
    若林志穂が語った昭和芸能界の暗部…大物ミュージシャン以外からの性被害も続々告白の衝撃

    若林志穂が語った昭和芸能界の暗部…大物ミュージシャン以外からの性被害も続々告白の衝撃

  1. 6
    橋下徹氏&吉村知事もう破れかぶれ?万博の赤字に初言及「大阪市・府で負担」の言いたい放題

    橋下徹氏&吉村知事もう破れかぶれ?万博の赤字に初言及「大阪市・府で負担」の言いたい放題

  2. 7
    WBCの試合後でも大谷が227キロのバーベルを軽々と持ち上げる姿にヌートバーは舌を巻いた

    WBCの試合後でも大谷が227キロのバーベルを軽々と持ち上げる姿にヌートバーは舌を巻いた

  3. 8
    大谷の2023年は「打って投げて休みなし」…体が悲鳴を上げ、右肘靭帯がパンクした

    大谷の2023年は「打って投げて休みなし」…体が悲鳴を上げ、右肘靭帯がパンクした

  4. 9
    「横浜愛」貫いた筒香嘉智 巨人決定的報道後に「ベイスターズに戻ることに決めました」と報告された

    「横浜愛」貫いた筒香嘉智 巨人決定的報道後に「ベイスターズに戻ることに決めました」と報告された

  5. 10
    河野太郎大臣「私は関わっておりません」 コロナワクチン集団訴訟で責任問う声にXで回答…賛否飛び交う

    河野太郎大臣「私は関わっておりません」 コロナワクチン集団訴訟で責任問う声にXで回答…賛否飛び交う