フジがフェイク拡散で大炎上 学術会議“口撃”は全くの誤り
「総合的・俯瞰的活動を確保する観点から判断」――。日本学術会議が推薦した新会員候補の任命を拒否した理由をこう話した菅首相。拒否された6人がいると「俯瞰的活動ができない」なんてあまりにも乱暴な言い分だが、ここにきて“応援団”が学術会議を攻撃し始めている。しかも、とんでもないフェイクを拡散。さすがに、SNSは大炎上だ。
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首相応援団のSNSが炎上している原因は、5日に放送のフジテレビ系「バイキングMORE」だ。上席解説委員の平井文夫氏が番組内で学術会議についてこう解説した。
「(会員は)6年ここで働いたら、日本学士院というところに行って年間250万円の年金がもらえるんですよ。死ぬまで。皆さんの税金から。そういうルールになってる」
一時、この発言があたかも真実かのように流布されたが、これが明白な“フェイク”だと分かった。
6日の野党合同ヒアリングで「学術会議会員になると年金が増えるのか」と問われ、内閣府の学術会議担当者は「そのようなことはない」と否定。「学術会議で働くと学士院の会員になれるのか」との質問にも、所管の文科省担当者は「学術会議とは選定プロセスが別。学術会議の会員になれば学士院の会員になれることはない」と説明した。
日刊ゲンダイが改めて学士院に確認すると、「(平井氏の発言は)全くの間違い」(庶務係)と明言した。
平井氏の発言が事実でないと判明するや、SNSでは〈悪質なデマ〉〈日本学術会議に憎悪を向けさせる悪質な虚偽発言〉〈政権を擁護したいからと、公共の電波を利用した印象操作〉と批判が殺到した。さすがに、6日の「バイキング――」では、番組内でアナウンサーが「学術会議の会員は学士院に推薦される方もいますが、全員が学士院の会員になるわけではありません。また学術会議以外の方が学士院の会員になることもあります」と釈明した。日刊ゲンダイがフジテレビに問い合わせると、「番組内でのコメントが弊社の正式見解」(企業広報室)と回答した。