日大事件で注目…田中前理事長の妻経営「ちゃんこ料理 たなか」で堪能できるイカリングの味
JR阿佐ケ谷駅から徒歩2分のところに「日大事件」で有名になった「ちゃんこ料理 たなか」がある。日大前理事長の田中英寿氏(75)の妻が経営し、日大幹部が日参した“帝国の中枢”として世間の注目を集めたが、肝心の料理にはあまり触れられてこなかった。気になる味はどうなのか。
田中前理事長が所得税法違反の罪に問われ、懲役1年(執行猶予3年)、罰金1300万円の有罪判決を受けたのは今年3月29日のこと。判決が下された直後、店に取材を申し込んだが、「勘弁してくれ」と取り付く島もなかった。そこで後日、数人を連れ、客として潜入した。
店内は明るく清潔。鍋を火にかけるコンロが埋め込まれた掘りごたつ式テーブルが並べられている。40~50人ぐらいは余裕で入りそうな広さだ。
店頭に置かれた特注と思われるショーケースの中には、日大相撲部のまわしが飾られ、その隣には高級酒として知られる「森伊蔵」や「十四代」などが並んでいた。
衣は薄くイカの本来のうま味を邪魔しない
肝心の料理はというと、どれも文句なしにうまい。季節メニューの「フキノトウの天ぷら」は良いあんばいで、衣が軽くサクサク。噛むほどに塩味と甘みの後にほろ苦さが広がり、ビールともよく合った。
ちゃんこは定番の「ソップ」を注文。「ソップ」とは鶏ガラのことで、スープは甘みを利かせた醤油ベースだ。チーママとおぼしき女性がテーブルについてかいがいしく世話を焼き、鍋を作ってくれる。春菊や長ネギ、ニンジンなどの野菜や、鶏、豚、イワシの3種類のつみれから、煮込むほどにダシが広がる。野菜や肉のうまみが染み込んだ鍋のシメはうどん。スープだけでも酒が進んでしまう。
とりわけ絶品だったのが「イカリング」だ。定番だが、イカを揚げただけの代物とは違う。白髪ネギと刻みネギ、醤油と一緒に混ぜ、最後にレモンをひと搾りする。衣は薄く、イカの本来のうま味を邪魔しない。下味もしっかりついている。レモンの酸みに衣の塩味やネギの香りが合わさり、サッパリだが食べ応えのある一品だった。
ビールやサワー、日本酒などを楽しみつつ腹いっぱい食事を堪能したが、会計は1人6000円程度。連休中に「あの話題の店」をのぞいてみるのも悪くないかもしれない。