「たかが衛生観念の不一致ですよ?」“神経質”妻の離婚に応じない夫の言い分
妻が神経質すぎる
「冷酷と激情のあいだvol.134〜女性編〜」では、結婚生活7年目にして衛生観念の違いを理由に離婚を決意した奈々子さん(仮名・35歳)の悲痛な心情をお届けしました。
しかし奈々子さんの夫であるマサムネさん(仮名)は、離婚を渋っているそうです。いったいその理由は、どこにあるのでしょうか。
【冷酷と激情のあいだ~男性編~】
「離婚してもいいかなって思っていたのは事実です。でも実際に離婚するとなったら、本当にそれでいいのかなって思いが強くなってきたので、僕の中で離婚届を書くのは保留にしているところです。
ぶっちゃけ奈々子は神経質すぎるところがあって、これまでの7年間でも僕はずいぶんと奈々子のやり方に我慢をしてきたんですよ。そこまで気にしなくていいんじゃないの? ってところまで奈々子は気にする人だし、家事やお金の使い方も細かくて疲れます」
「衛生観念の違い」なら歩み寄れるはず
それでもそんな奈々子さんとの夫婦関係は「まぁまぁ」だと自己評価してきたと話すマサムネさん。妻が離婚を望んでいる理由が“衛生観念”であることは理解しているそうですが、「そんなの努力次第でいくらでも歩み寄れる気がするから、本当に離婚していいものか迷っている」と言います。
「浮気とか借金とかDVとかなら、すぐに離婚するべきだと僕も思うんです。でも衛生観念って、お互いが相手の価値観に配慮すれば、なんとかなりそうな気がしませんか?
奈々子が神経質な性格だから、僕のやり方が気に入らないのはわかります。でもね〜、そんなこと言っていたら、奈々子は誰とも暮らせないですよ。だって僕はそんなにズボラでもだらしなくもないし、自分では“人並み”だと思っていますから」
妻から離婚届を渡されたことはとてもショックだったと振り返るマサムネさんですが、今は「妻の神経質な性格が招いた一時的な感情かもしれないので、様子見です」と言います。
本当に離婚する気はないのでは
「離婚だ、離婚だって言いながら、まだ奈々子は家にいますからね。本当に離婚したいなら、すでに家を出て行っていると思うんですよ。
でも奈々子はまだ自宅で暮らしている。ってことはぶっちゃけた話、妻は本気で離婚する気はないんじゃないかなって思います。
このまま僕がじっとしていたら、何事もなかったかのように、また普通の生活に戻るんじゃないですかね? それまで僕は、とりあえず静かにしていればいいかなって。変に波風を立てて離婚の準備なんて面倒なことをするのは、可能なかぎり避けたほうが賢いんじゃないかと思ったんです。
離婚したら負け
今はなるべく家にいる時間を減らして奈々子を放置しつつ、そのうちにまた落ち着いた日々を取り戻せればって感じですね。
だって、結婚ってそんなものでしょう? 離婚を考えたことのない夫婦なんて世の中にいないと思うし、ここで離婚したら負けだとも思うので、僕はこのまま耐えられるところまで耐えるつもりですよ」
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恋人同士であれ、夫婦であれ、100%同じ価値観を有する男女は稀です。ましてや交際前の男女となれば、なおのことです。少しのすれ違いが、大きな溝に発展することも少なくないのが異性間における現実でしょう。
まさにこれこそが、男女関係における醍醐味にもなれば致命傷にもなる“冷酷と激情”のはざまなのかもしれません。
(並木まき/ライター・エディター)