青木理氏「朝日叩きは社会が変質する中で起きた歴史的事件」

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 5月20日に朝日がスクープして約3カ月、どこも調書を入手できなかったのに、朝日バッシングが始まった8月に産経が入手し、読売などが続いた。官邸のリークでしょう。しかも産経や読売は、調書の本質ではなく、朝日記事が間違っているという部分に焦点を当てた。政権にとっては一石三鳥でしょう。原発事故の凄惨な本質はさほど語られず、調書を非公開としてきたことも批判されず、憎き朝日叩きの材料に矮小化できたんですから。メディアは権力に踊らされた。戦後ジャーナリズム史に残る大敗北です。

――そんな安倍政権下で、日本社会の変質が「上部」から「下部」まで広がっているということですね。

 街角でヘイトスピーチをがなり立てている在特会やネトウヨといわれている連中など、さほど大きな力を持っていると僕は思いません。むしろ深刻に捉えるべきは、一般の人々の間にそうした空気がうっすらと積み重なるように醸成されているらしき現状です。嫌韓本や嫌中本があふれ、週刊誌が嫌韓や嫌中をあおる。テレビだって隣国の事件をことさら大きく扱い、「日本では考えられませんね」みたいなことを平気で語る。こういう状況が続くと、隣国を嫌悪し、自国を優越視する不健全な空気が拡散します。そういう「下部」構造が、安倍政権のような「上部」構造を支える。安倍政権なんて今後どうなるか分からないけれど、人々の間に広がる排他と不寛容の風潮は、一度蔓延すると容易に消せない深刻な病です。戦後70年を迎えて歴史修正主義や排他、不寛容のうごめきが強まっている現状は、心底憂鬱です。

(聞き手=本紙・小塚かおる)

▽あおき・おさむ 1966年、長野県生まれ。慶大文卒。共同通信社で社会部、ソウル特派員。06年からフリー。主な著書に「日本の公安警察」「トラオ」「誘蛾灯」「青木理の抵抗の視線」などがある。

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