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高野孟
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高野孟ジャーナリスト

1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。

呪われたTPPの審議は難航必至

 来年度予算案が成立して、国会の焦点はTPP協定案の承認と、その関連法案の審議に移る。が、この協定案にはすでにいくつもの呪いがつきまとっていて、審議は難航必至である。

 第1に、日本側でこの交渉を一手に引き受けてきた甘利明前TPP担当相は「口利き」疑惑で失脚して不在で、全体交渉だけでなく日米2国間交渉を通じて日本側が繰り出した数々の密約の全貌について直接知る者は誰もいない。「何も知らず、おまけに不用意な失言がお得意の石原伸晃では立ち往生するのが目に見えている」と、自民党農林議員は不安を語る。

 第2に、審議に臨む野党側の理論武装は、一般に考えられているよりも、はるかに進んでいる。協定案は英文で7000ページ以上に上り、日本政府が1月に公表した暫定和訳はそのうち944ページ分に過ぎない。石原大臣はもとより安倍晋三首相や農林議員の誰も、その和訳分さえ熟読することなく国会論戦に挑むのだろう。ところが、山田正彦元農相(TPP違憲訴訟の会幹事長)を中心とする十数人の専門家チームは、昨年11月から英文原文を読み込んで、細部に隠された欺瞞や密約を一つ一つ掘り出す作業に取り組んできた。すでに第1次報告書をまとめ、その内容を野党議員に徹底的にレクチャーしている。恐らく農水官僚でも答えられない質問が飛び出してくるだろう。

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