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西田亮介氏が分析 東京都議選の雪崩現象と「ポスト真実」

理性の土壌を改善しようという機運がない

  ――事実より感情、事実はもう不要、みたいなことまで言われますが。

 いつの時代もセンセーショナルな情報に反応するのは、我々の性というほかありません。20世紀後半から21世紀初頭までの時代、世界は「理性で超克しよう」「理性を持って乗り越えよう」としてきました。例えばEUは通貨を統合して、国という壁を取り払うという難題に挑戦しました。初の黒人大統領になったオバマ氏は、当選当初は「オープンガバメント」を掲げ、行政情報の透明化やネットを使った情報公開の活用を主張していました。いずれも理性で政治を動かそうという試みですが、どちらもうまくいかず、行き詰まっています。その反動もあって、理性に対する懐疑が生じ、感情重視の傾向が強くなっているのではないでしょうか。

  ――日本もその傾向にある?

 そう思います。感情的に動いた方が得、とでもいうような。でも、そんな路線に棹さしてもダウントレンドが既定路線の日本社会の未来はないでしょう。理性の土壌を豊かにするために、肥料をまく、水をやるということをしないで、品種改良によって生産性の高い種をつくろうとしている。政府が進める「働き方改革」もそう。生産性向上によって、人手不足を解決しようとしているようにさえ見えます。土壌自体を豊かにしようという発想がない。政治もそうです。有権者の理性が当てにならないとして、当てにならないことを前提にして支持を集めようという競争になっています。社会における政治的認識や理性の土壌を改善しようという機運は、どの政党にも見られません。これではやせ細っていくばかりです。

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