「集団就職」の真偽を問いただすと口調が興奮気味に一変
取材を始めた2015年、菅義偉はすでに官房長官として安倍晋三内閣に欠かせない存在だった。本人の素顔を知るため、生まれ故郷の秋田県や選挙地盤の横浜市を歩いたことを思い出す。気の早い地元の湯沢市民たちは、「秋田県初の内閣総理大臣誕生だ」と期待を込めてそう語った。
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もっとも母や姉をはじめ、近親者であればあるほど、政権ナンバー2の地位に上り詰めた実感すらない。まさか首相になるとは想像できなかったに違いない。改めて過去の取材記録をめくり直してみるとそう感じる。
「雪深い秋田の農家の長男として生まれ、地元で高校まで卒業いたしました。卒業後、すぐに農家を継ぐことに抵抗を感じ、就職のために東京に出てきました。町工場で働き始めましたが、すぐに厳しい現実に直面し、紆余曲折を経て2年遅れで法政大学に進みました」