立憲安住淳氏 国民目線でなければ政権から引きずり降ろす
数々の問題を抱えながらズルズル続いた第2次安倍政権がようやく終焉を迎え、約7年8カ月ぶりに新政権が発足。時を同じくして、旧・立憲民主党と旧・国民民主党などが合流した新「立憲民主党」も今月15日に結党した。衆参150人の勢力になった野党第1党は、菅政権にどう立ち向かっていくのか。引き続き野党の“闘う国対委員長”として、共同会派を率いる国会対策の司令塔に話を聞いた。
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――今月16日に菅政権が発足しました。ちょうど同じタイミングで、野党の合流新党が大きな塊になった。国会戦略は変わりそうですか。
安倍政権の亜流が誕生しただけですから大きな変化はないでしょう。内閣はほぼ居抜き、自民党の役員人事も幹事長、国対委員長は留任ですから。主演俳優が突然降板したのに代役で無理やり続けるドラマみたいな政権ですよね。菅首相は、そもそも7年8カ月の間、官房長官として安倍政権の中枢にいた人物です。森友問題、加計問題、「桜を見る会」など数々の疑惑、不正について知らないはずがない。そこはきっちり追及していく必要があります。
――安倍前首相は病気を理由に辞職して同情論も出ていますが、疑惑や不正が病気で免責されるわけではありません。
病気と疑惑は別問題です。縁故主義で政策が歪められたり、税金が不正に使われることがあってはならない。検察庁法改正案との関連が濃厚な河井夫妻の選挙買収事件や、秋元司衆院議員が逮捕されたIR事件などには、菅首相も深く関わっているのではないですか。
――今年の通常国会終盤では、検察庁法改正案が、「官邸の守護神」と呼ばれた東京高検の黒川元検事長を検事総長にするための法案だと言われ、世論の大きな関心を集めました。その成立を阻止した手腕は見事だったと評判です。
当時、SNS上で「#検察庁法改正案に抗議します」と抗議の意思を示すツイートが相次いでいました。歌手やタレントら、これまで政治的な発言をしなかったような著名人も反対の声を上げてくれた。そういう国民の声に何としても応えなければと思い、事前通告せずに武田国家公務員制度担当相(当時)の不信任決議案を提出する奇襲で審議を止めた。それでなんとか委員会採決を週明けに持ち越すことができましたが、ギリギリの綱渡りでした。
――内閣委の理事会で、与党側が「この後、採決を」と提案しているさなかに突然、大臣への不信任案が出された。驚きましたが、お作法通りにやっていたら、与党は決議案を即座に否決し、採決を強行していたかもしれませんね。
時間稼ぎをして、週末の土日で世論が一層、盛り上がることを期待していました。いくら官邸主導で「やる」と決めても、与党議員だって地元の有権者から「おかしいじゃないか」と抗議が殺到したら無視はできませんから。週明けに黒川氏の賭けマージャンが週刊誌に載ることが分かり、与党も改正案の成立を断念という急転直下でしたが、法案に反対する世論が盛り上がらなければ確実に強行採決されていた。有権者の声が野党を後押ししてくれたら、与党も乱暴なことはできなくなる。そういう成功体験を国民と共有できたと思っています。昨年の大学入試の民間試験導入もそうです。国民が本気で不安や反対の声を上げれば、それが野党の力になり、与党の暴走を阻止することができるのです。