「総合的、俯瞰的判断」という言い逃げを許すな
日本学術会議の新会員の一部の任命を菅首相が拒否したことが大問題になっている。
自民党は、「任命権がある以上、任命も拒否もあり得る」という単純論法で開き直ろうとしたが、それでは世論が納得していない。それは、その人事が政治家の人事と本質的に異なり、単純に多数決民主主義で説明できるものではないからである。つまり、「政府にとって都合の悪い学説を表明した学者は、政府が介入して『不利益』を与える」という先例を許してしまったら、学者も人間である以上、萎縮するのが自然で、それこそ、政治権力が犯してはならない「学問の自由」の侵害(憲法23条違反)になってしまう。
だから、批判する側は、当然に、政府に対して、「任命拒否の『理由』を明示する」ことを求めている。
それに対して、政府側は、首相は「いろいろな見地から」判断したと答え、内閣府官房長は「総合的、俯瞰的な観点から」判断したと答えている。