日本学術会議バッシングの裏に…菅首相10年越しの私怨
もはや「居直り強盗」級の邪悪な印象操作だ。日本学術会議の新会員候補6人除外問題で、菅政権の論点ずらしは過熱の一途。9日は、河野行革相が学術会議を“ムダ撲滅”の対象にロックオン。「予算や機構、定員について聖域なく見ていく」と意欲を燃やす中、狂気の学者たたきに新たな疑惑が浮上だ。ズバリ、菅首相の「私怨」隠しである。
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河野大臣は自身のツイッターにも「政府の全ての支出は、最初から行政改革の対象」と投稿。ところが、1億円近い税金を投じる中曽根元首相の高額合同葬はスルーだ。感染対策で参列者同士の間隔を広げた結果、当初の会場に収まらず、別会場を借りて予算増――と、本紙(日刊ゲンダイ)がムダを指摘しても、見直す気はない。
自民党の下村政調会長も、学術会議の在り方を検討するプロジェクトチームを設ける方針を発表。「10年以上、(政府に)答申を出していない」と攻撃するが、2007年を最後に政府が諮問していないのだから、答申が出ないのは当たり前。「活動が見えない」との批判も言いがかりだ。
学術会議は08年以降、321本の提言と10本の報告を政府に提出。今年も教育のデジタル化やプラごみ対策など83本の提言・報告を公表している。年間10億円強の予算のうち運営費を除く5億円は、見解をまとめる会議出席の際の日当や国内外の旅費に充て、「秋ごろになるとお金がなくなって『後は自腹でお願いします』と言われた」(元会員で法大教授の杉田敦氏)。この実情を文教族の下村氏が知らないなら、単なる勉強不足だ。