菅首相「名簿見ていない」発言は安倍前首相への責任転嫁か
6人の候補が任命拒否された日本学術会議問題への国民の怒りは強まる一方だ。ネット上では反対署名が14万件を超え、ツイッターでも「#スガ政権の退陣を求めます」がトレンド入りしている。いま最も問題視されているのが、9日のグループインタビューでの菅首相の発言だ。6人が“排除”される前の推薦者リストを「見ていない」と明言した。それでどうやって人事の適不適を判断したのか。疑いは深まるばかりだ。
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野党合同ヒアリングで、内閣府の担当者は「学術会議が推薦した105人のリストを、内閣府が受け取ったのは8月31日」「99人が記載されたリストを起案し、官邸に上げたのは9月24日。同時に、105人のリストを添付した」と説明。菅首相自身は9月28日に99人を任命したと発言している。
これらを総合すると、6人が外されたのは、8月31日から9月24日の間。官邸にリストが上がる前の段階だった可能性がある。ただし、6人を削除する前の“105人リスト”も「添付」して官邸に上げたとしているから、菅首相が一切「見ていない」というのはどう考えても不自然だ。
いったい、どういうつもりで「リストは見ていない」と発言したのか。ちょうど総裁選や組閣でドタバタしていた時期だから、ほとんど関与せず無責任に決裁した可能性もあるが、「安倍前首相に責任を押し付けようとしているのではないか」(永田町関係者)という見方も流れている。
「内閣府が105人リストを受け取ったのは8月31日。当時はまだ安倍政権でした。その2日後の9月2日、内閣府が学術会議法の解釈について内閣法制局に照会している。2018年11月に法制局から得た『首相は学術会議の推薦通りに会員を任命すべき義務があるとまでは言えない』との見解を改めて確認した形です。これらは全て、安倍政権の時に行われた。菅首相が『名簿を見ていない』のが事実なら、6人を削除したのは安倍前首相だった可能性が高くなります」(前出の永田町関係者)