【天皇賞】さすが千両役者 完全復活でGⅠ6勝目キタサンブラック勝因と残り2戦を占う

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武豊の冷静な判断と馬場を味方にできた強運

 天皇賞を勝ったのは1番人気に推されていたキタサンブラック。見事に6つ目のGⅠタイトルを掴んだ。

 今回の勝利は全てがスムーズにいったわけではなかった。「スタートでゲートに突進して前扉にぶつかってしまって」と武豊が話したように“珍しく”出遅れる形に。前での競馬がイメージされていただけに“アッ”と思ったファンも多かったはずだ。それでも今回のキタサンには名手の冷静な判断、そして“強運”があった。

 スタート後はキタサンのリズムをできるだけ崩さないように、中団の馬群でしっかりと折り合いをつけていた。そして見事な手綱さばきは3角から4角にかけてだ。

 今年の天皇賞が良馬場だったら勝負どころは馬群が密集して進路を探すことに苦労したかもしれない。それが91年以来となる不良馬場での開催。外を回るのがベストとみたライバルが多く、インがあいていたという強運があった。

 そこを3角過ぎからスルスルとショートカットするように進出。4角では労せず2番手にまで押し上げたのだから、ナイスリカバリー。

 そして直線の進路取りも素晴らしかった。極悪馬場の中、Vロードといっていい外へ少しずつ持ち出して、②着サトノクラウンの追撃を封じた。

 着差はタイム差なしのわずか首差。もし、道中での押し上げに少しでもロスがあったり、直線での進路取りを間違ったりすれば、惜敗に終わっていたかも……。そんな紙一重の中でも結果を出したのが武豊キタサンの名コンビ。盾男の腕、運が呼び込んだGⅠ6勝目だったといえよう。

残り2戦の方が舞台は向く

 これで残す2戦はジャパンCと有馬記念。

 どちらも勝利すればJRAのGⅠ8勝となり、ディープインパクト、テイエムオペラオー、シンボリルドルフを抜いて単独トップに。獲得賞金もレースの①着賞金3億円+3億円に褒賞金2億円が加算され、20億円超えに。こちらも史上最高となる。

 では、その実現性は高いのかどうか。

 まず、次戦のジャパンC。結論を先に言えば、昨年も制しているように東京二千四百メートルは合っている。

 というのも、ジャパンCの過去20年間で前半5Fを60秒切ったのはわずか5回だけ。同じ東京でも天皇賞・秋は14回も記録しているように、わずか2Fの距離延長ながら道中のペースはガクンと落ちる。先行脚質のキタサンにとっては有利な展開になりやすい。

 最後の有馬記念もそうだ。前2年が③②着で、中山自体も〈2120〉と崩れていない。

 これは単純に直線の短いコースは、機動力のあるこの馬にとって好材料といえる舞台設定ということ。

 秋3戦の中で最も落とす可能性が大きかったのが天皇賞・秋。“鬼門”を通過できた意味は非常に大きい。

これまでは必ず○○×だが

 だが、そんなキタサンにとって最も気掛かりなのは、やはり3戦目の有馬記念。3歳秋以降、きっちりと1シーズン3戦のローテーションだが、必ず最後はパフォーマンスが落ちているからだ。

 3歳秋はセントライト記念①着→菊花賞①着→有馬記念③着。4歳春は大阪杯②着→天皇賞・春①着→宝塚記念③着、秋は京都大賞典①着→ジャパンC①着→有馬記念②着。そして、5歳春の今年は大阪杯①着→天皇賞①着で宝塚記念は⑨着に惨敗。パフォーマンス低下の程度の差こそあるものの、3戦目は一度も勝てていない。

 これはキタサンの特性によるものか。

 常に一生懸命に走るタイプだし、「初戦をたたき台というような使い方ができないレベルの馬」(武豊騎手)だからだ。

 特に今回は極悪馬場だったうえに、JC、有馬記念とも関東エリアでの競馬だから、これからは「疲労回復→中3週で輸送→GⅠの激闘」というサイクルが続く。

 果たしてこの秋は最後までもつのか……。有馬記念を考えるうえでの一大テーマといえそうだ。

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