データ室・武田記者のラップと馬場差を徹底分析する

高速馬場を頭にたたき込んでNHKマイルCへ

公開日:2019年4月30日 17:00 更新日:2019年4月30日 17:00

 競馬というのはなかなか計算通りにはいかない。それは百も承知の上だが……。

 菊花賞で勝ったフィエールマン、②着エタリオウの着差は鼻。③着ユーキャンスマイルは0秒2差だった。しかも、上がりは3頭ともに33秒9。なら、負けた2頭に逆転の余地があっても良さそうなもの。

 ところが、200メートル延びた天皇賞ではフィエールマンとエタリオウの差は1秒に広がり、ユーキャンはそこから0秒5。勝ち馬からは1秒5もの差になった。

 流れは意外なほど単調なものになった。前半5Fは59秒8で1分を切ったが、3Fは36秒0であり、今の芝の走りやすさを思うと、さほど速くはない。ヴォージュが逃げて、2番手ロードヴァンドール、3番手メイショウテッコンと、早めに隊列が決まったのがその要因だ。

 後半5Fは58秒5。これまでの天皇賞を調べていて、前後半ともに1分を切ったことは一度もない。なのにタイムは3分15秒0で、平成では9番目。つまり、その間の6Fの中だるみがすごかった。1分16秒7である。レコードで勝った17年キタサンブラックの時は1分14秒0。それだけ息が入りやすい流れだったということ。

 これをいち早く察知し、早めに少し位置を上げたのがフィエールマン。こういう読みに関して、ルメールは本当にたけている。

 後半の速さを考えると◎エタリオウの最後方は絶望的な位置取り。集中力の持続しない馬なのでM・デムーロは一気に脚を使う戦法を取ったのだろうが、流れが合わなかった。予想は完敗である。

 フィエールマンとたたき合って②着のグローリーヴェイズは菊花賞で大外18番からロスのある競馬で0秒5差⑤着だった馬。これくらい走ってもおかしくはなかった。それを、父がディープインパクトという点で評価を下げたのが悔やまれる。

 東京は土曜、日曜の競馬。土曜は芝が稍重でも9R秩父特別で千六1分33秒5が出た。この時点で「良馬場に回復するはずの日曜は相当な時計が出るだろう」とは思ったが、日曜の時計の速さは想像を超えていた。

 ブレイブメジャーが勝った日曜7R3歳五百万の千六では1分32秒9。前半3Fが35秒0と決して流れてはいないのにこんな時計になるのは、いかに後半が速かったかということ。快速オルレアンローズが逃げて前半3F33秒6の10R晩春Sは千四1分19秒5のタイレコードが出ている。

 となると、良馬場ならNHKマイルCではどんな時計になるのだろうか。

 また、こういう時計、特に上がりが速い馬場ではいくら直線が長くても差しが利かない。日曜の芝6鞍で4角5番手以内が5勝。7番手以内なら6勝②着5回③着5回だから、4角8番手以降は勝ち馬なしで、②③着が1回ずつということ。この点は覚えておくべきだろう。

武田昌已

武田昌已

月~金は麻雀、土日はウインズだった学生生活を経て、入社後は編集一筋25年超。2015年春は何と9週連続重賞的中の快記録も達成し、2016年は春東京でGⅠ4連勝も。馬場の傾向、ラップの分析に定評がある。毎週、目黒貴子さんとその週の重賞解説の動画も公開中。

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