マイル戦ならアドマイヤマーズは負けない。
2歳時はデビューから千六芝にこだわって4戦4勝。GⅠ朝日杯FSも制して、最優秀2歳牡馬のタイトルを手にした。
明け3歳初戦は千八の共同通信杯で②着。前走は二千の皐月賞が④着。距離が延びたことで甘さを見せたが、これは父ダイワメジャーの血によるところが大きい。
同産駒は芝の重賞で通算33勝。うち半数以上の18勝をマイルで挙げている。一方、千八以上では2勝のみ。明らかに成績が下がる。
特に2歳~3歳6月の春クラシック終了時までは〈03656〉。マーズも“距離の壁”に阻まれた印象が強い。
ただし、負けはしたものの、皐月賞の④着に同馬のポテンシャルの高さが見てとれる。というのも桜花賞、NHKマイルCの両マイル戦以外の3歳限定GⅠ5鞍で、初めて掲示板を確保した産駒がマーズなのだ。適距離外での好走は高い能力の証し。過去のメジャー産駒の中でもトップクラス
の力を持っている。
マーズは父に加えて母系もマイル向き。母の父メディシアンはマキャヴェリアン直子のスピードタイプ。現役時代は英GⅠロッキンジS(8F芝)を制するなど、マイル戦を中心に活躍した。
種牡馬としては英GⅠコロネーションS(8F芝)馬のナンニナを輩出。母ヴィアメディチも芝マイルの仏GⅢリューリー賞の勝ち馬。そう、マーズは生粋のマイラー配合なのだ。
ちなみに、NHKマイルCでメジャー産駒は12年カレンブラックヒル、16年メジャーエンブレムと2頭がV。マーズとカレンブラックヒルは母の父がミスプロ系という共通点もある。マーズも適距離に戻れば能力全開。マイルの舞台で2歳王者が輝きを取り戻す。