データ室・武田記者のラップと馬場差を徹底分析する

雨の開幕週から何頭かピックアップ

公開日:2019年7月2日 17:00 更新日:2019年7月2日 17:00

 ロングランの東京開催が終わり、本格的な夏ローカルへ。だが、いきなりの雨には気がめいる。

 ところによっては災害級の大雨が降っているとか。とにかく、大きな被害が出ないことを祈るばかりだ。

 開幕週が雨によって不良馬場になると当然、芝の傷みが早くなる。特にこの福島、中京開催はそうなりやすい。

 それには障害戦が組まれている影響も。福島では日曜に1鞍、中京では土曜に2鞍あった。中京の障害戦は芝を1周半以上するし、福島ならホームストレッチを2回通るコース形態だ。

 中京の芝は土曜5鞍、日曜8鞍の計13鞍。たたですら道悪の日曜に酷使したが、それ以前に土曜も1周半が2鞍だから、7鞍ある計算に。これでは特にインの荒れは早くなろう。開催後半は徹底したアウト差し狙いが面白いかもしれない。

 こういう状況では馬場も刻一刻と変化するので、記録の優劣をつけるのも困難だ。そんな中、次に狙えそうな馬を何頭かピックアップする。

 まず最初は、日曜7R3歳未勝利を制した初出走馬ダイワダグラス。昨暮れにデビューする予定が骨折で休養。ここまで出走が延びたが、素質が違った。

 いきなりの不良馬場をモノともせず、直線一気の差し切り勝ち。特にこんな馬場で、ラストの3Fが12秒9―12秒4―12秒3と加速している。さすがセレクトセールで1億円近い値がついただけのことはある。

 ラジオNIKKEI賞は本命のダディーズマインドが逃げて④着。気になったのはこれに鼻差及ばず⑤着だったアドマイヤスコールだ。

 スタートから最初のコーナーが近い千八では、かなり不利な大外16番枠。前半は後方で、向正面では内から前との差を詰めていったものの、0秒3差まで追い上げるのが精いっぱい。もう少し内めの枠だったら、着順も上がったのではないか。

 3走前の水仙賞は二千二百メートル2分12秒5の好時計勝ち。この時は青葉賞を勝ったリオンリオンを③着に負かしているのだから、能力はかなりあるはず。ここ2戦は重賞挑戦。古馬相手でも2勝クラスなら、勝ち負けの期待が持てる。

 ダートでは日曜4R3歳未勝利、千百五十メートルを逃げ切ったマリノオークション。時計は1分7秒9で、8Rの1勝クラスより0秒1速い優秀なものだ。

 今回がデビュー9戦目だった。これまで芝で4戦して、その中には二千も。ダートでも二千百を使い、千八を3戦。ところが、今回は一気の距離短縮で一変。ようやく自分の居場所を見つけた感じか。

 父はシンボリクリスエス。この産駒はあまりダートの短距離で活躍した馬はいない。恐らく母の父アドマイヤムーンの方が濃いのだろう。スピードが生きるダートなら、1勝クラスはすぐに抜けられそうだ。

 最後に函館記念の前哨戦、日曜函館メインの巴賞に触れておく。

 サトノフェイバーにファストアプローチが絡んで、前半3Fが34秒9。このペースがこたえて、直線を向く頃には前と後ろがガラッと入れ替わる展開になった。

 5、6F目に11秒9―11秒9とラップが緩むどころか、ペースが上がったことも先行馬苦戦の要因といえる。そんな展開で早めに2番手、4角先頭の競馬が⑦着アメリカズカップ。テン乗り岩田康の仕掛けが少し早かった感も。

 もう一頭、3番手にいたマイスタイルは前がバテてきた影響で、勝負どころで位置を下げ、ほとんど何もできないままのゴールだった。

 どうも狙い頃の見極めが難しい馬だが、今回は別定で58キロ。函館記念では恐らくハンデ56キロだろう。昨夏に再度のオープン入り後は⑨②⑧②⑩③⑨着。次は馬券になる番だが……。

武田昌已

武田昌已

月~金は麻雀、土日はウインズだった学生生活を経て、入社後は編集一筋25年超。2015年春は何と9週連続重賞的中の快記録も達成し、2016年は春東京でGⅠ4連勝も。馬場の傾向、ラップの分析に定評がある。毎週、目黒貴子さんとその週の重賞解説の動画も公開中。

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