データ室・武田記者のラップと馬場差を徹底分析する

函館記念は前哨戦とは真逆の結果に

公開日:2019年7月16日 17:00 更新日:2019年7月16日 17:00

 今回は休刊日明け。なので、日曜の3場メインを中心に振り返りたい。

 まずはGⅢ函館記念(写真)。はっきり言って悶絶する結果だった。

 本命は3頭のステイゴールド産駒の中からレッドローゼスを抜擢。ところが、②着マイネルファンロン、③着ステイフーリッシュと、他の2頭が馬券になったのだから。ま、ステイ産駒がハンデ戦で走ることがあらためて実証されたと、自らを慰めるしかない。

 さて、勝ったのはマイスタイル。巴賞は不完全燃焼のレースで⑨着に終わったが、今回は自らラップを刻み、最後はマイネルを差し返して勝利をもぎ取った。

 勝因は前半2F目にある。マイスタイルの逃げは12秒7―11秒7。2コーナーあたりからちょっと離していったとはいえ、2~6F目の5Fは一貫して11秒7~11秒9。速そうに見えても、3F通過は36秒3とスローで、5F59秒8なら平均ラップ。後続が構え過ぎた印象が強い。

 3番手に控えた巴賞は3F34秒9、5F59秒1だから、重賞の今回の方が楽だった。また、マイスタイル自身で比べても、昨年の函館での逃げ切り2連勝の時より3F通過が遅い。この時点で「勝負あった」である。

 ②着マイネルは2番手でうまく流れに乗り、③④着のステイフーリッシュ、ドレッドノータスは3番手と4番手が入れ替わっただけ。直線でズブズブだった前哨戦とは真逆の結果になったから、レースは生き物といえよう。

 ただ、こういうケースでは「脚を余した」といえる馬が普通は何頭かいるもの。それが、今回は不思議と見当たらなかった。マイスタイルも展開に恵まれた感が強く、次走が試金石か。全体としては決してレベルが高い一戦とはいえない。

 中京メインはオープンのダート千八、名鉄杯。重馬場で超高速馬場だったにしても、スマハマが1分47秒6と芝並みの時計で逃げ切ったのは驚きだ。

 このレースは3F目に11秒2→12秒5とペースを落とすことができた。そして、5F目から11秒9―11秒4―11秒5―11秒6と速いラップを刻み、後続を完封。ラスト1Fは12秒6と少し落ちたものの、後半5F59秒0はダート千八で史上最速。さすが、函館リーディングトップの藤岡佑が中京に飛んだだけのことはある。重賞でもやれるのは間違いない。

 福島のバーデンバーデンCは大外枠からカラクレナイが差し切り。3歳時のフィリーズレビュー以来、2年4カ月ぶりの勝利を挙げた。

 ただ、重馬場とはいえ千二1分9秒3は、7R3歳未勝利より1秒速いだけ。オープンとしては凡戦か。前半3F33秒7、後半35秒6の前傾ラップにも恵まれたように思う。

 ②着アンヴァルは馬場を気にしたのか、行きっぷりが悪く、4コーナーでは一瞬、「このまま下がるのか」と思わせたほど。頭差②着にまで追い上げてくれば、次のメドは立った。

 意外なほどの差し脚を見せたのが④着フロンティア。今回は11カ月ぶり、初の千二、初の重馬場という三重苦。プラス24キロの数字が示すほど太くは見えなくても、案の定、追走に苦しみ4角最後方。しかし、外に出すとグイグイ伸びて0秒1差にまで詰め寄った。

 新馬戦は逃げ切り、2年前の新潟2歳Sは2番手からの勝利。これまでは軽いスピードタイプの先行馬というイメージだった。しかし、父がダイワメジャーで、母の父トニービンという少し馬力寄りの配合だ。1950万円と本賞金が少なく、次はどこを使えるかわからないが、新たな一面を見せた点は注目できる。

武田昌已

武田昌已

月~金は麻雀、土日はウインズだった学生生活を経て、入社後は編集一筋25年超。2015年春は何と9週連続重賞的中の快記録も達成し、2016年は春東京でGⅠ4連勝も。馬場の傾向、ラップの分析に定評がある。毎週、目黒貴子さんとその週の重賞解説の動画も公開中。

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