元川悦子
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元川悦子サッカージャーナリスト

1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

日本とって大一番のエクアドル戦 観客数は大会ワーストに

公開日: 更新日:

6月24日 月曜日

 中島翔哉(アルドゥハイル)が放ったGKとの1対1のシュートのこぼれ球を久保建英レアル・マドリード)が流し込んだ瞬間、日本の2019年コパ・アメリカ8強進出が決まったかと思われた。だが、主審はオフサイドと判定。VARの確認が行われている間、18歳の久保は両手を合わせて祈ったが、得点は認められなかった。結局、24日のエクアドル戦(ベロオリゾンテ)は1-1の悔しいドロー。若きジャパンのブラジルでの挑戦は不完全燃焼のまま終焉を迎えた……。

 ◇  ◇  ◇

 エクアドルとの最終決戦当日の現地は快晴。気温も日中27度まで上がった。夜のハードな作業に備えて睡眠時間を多めに確保し、昼には知人とランチに出た。ブラジルには「ポルキロ」と呼ばれる量り売りのビュッフェレストランが沢山ある。2013年コンフェデ杯や2014年ブラジルW杯の時にもよく利用したが、今回はこれが初めて。セントロのショッピングセンターにあるOLらが集まる人気店に出向いた。

 鶏や豚などの肉や魚などのメイン料理に副菜が20~30種類は並ぶ。特に嬉しかったのが野菜。ホテルの朝食は卵やソーセージ、果物が定番で野菜サラダは全くない。野菜不足でビタミン剤を飲んでいる状態だったので、色とりどりの野菜は嬉しかった。エネルギーを補給し、決戦の舞台・ミネイロンに向かう。

 スタジアムへの道が渋滞していたので、5年前の2014年ブラジルW杯準決勝・ブラジル対ドイツ戦のような熱気と興奮を勝手にイメージしていたが、試合開始3時間前の周辺は閑散。キックオフの20時が近づいても観客はまばらで、メインスタンドでは警備員やボランティアの方が目立つほどだ。

 今回のコパ・アメリカは観客不足が問題視されている。序盤8戦の平均観客数は3万人弱。ブラジル戦を含めてこの数字なのだから、不人気具合が分かる。日本の試合もチリ戦が2万3253人、ウルグアイ戦が3万3492人とスタンドの3~6割は埋まっていたが、さすがにエクアドル戦は厳しい様子。公式観客数は7623人と大会ワーストを記録してしまった。平均月収7~8万円のブラジル人が8000円のチケット代をこの試合に払おうとは思わないのだろう。超満員のポルトアレグレでブラジルと準々決勝を戦う権利を得るためにも、今回は勝ち切る必要があった。

 幸先は悪くなかった。前半15分に久保からパスを受けた中島がスルーパス。岡崎慎司(レスター)が抜け出し、GKがクリアしたボールを受けた中島がシュート。いきなり日本が先制点を手に入れた。オフサイドの疑いがあり、VAR確認が行われたが、得点は認定。この1点を守り切れば鬼門の南米初勝利も現実になるはずだった。

 だが、そこから守備陣がバタバタしはじめ、危ない場面でパスカットされ決定機を招くなど、不穏な空気が漂い始める。案の定、前半38分に失点。1-1で折り返した。

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