永田洋光
著者のコラム一覧
永田洋光スポーツライター

出版社勤務を経てフリーになり、1988年度からラグビー記事を中心に執筆活動を続けて現在に至る。2007年「勝つことのみが善である 宿澤広朗全戦全勝の哲学」(ぴあ)でミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。近著に「明治大学ラグビー部、復活への軌跡」(洋泉社)などがある。

大番狂わせの舞台裏 日本代表が証明した「失われた3年間」

公開日: 更新日:

 日本が、前回大会に続いてラグビー史に残る勝利を挙げた。世界ランキング2位のアイルランドを19―12と破ったのだ。試合直前のブックメーカーのオッズが日本の勝利に9倍という下馬評を覆しての「ジャイアントキリング」だった。

 データで見れば、日本は80分間で176回タックルを繰り返してミスはわずかに13回。成功率は93%だ。敗れたアイルランドも、171回のタックルでミスは18回。こちらも成功率89%と高水準。つまり、アイルランドが油断したからでも、日本が僥倖に恵まれたからでもなく、両チームが持てる力をフルに発揮して80分間を戦い、日本が勝ったのである。

 この勝利に一番胸をなで下ろしているのは、ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)だろう。

 2016年9月に就任するや、それまでの日本のスタイルを大きく変えて、キックを多用するラグビーを導入。その結果チームは低迷し、開幕前まで、対戦時点で格上のチームに2勝9敗1分けと大きく負け越していた。

 今年は、代表強化のために組織されたスーパーラグビー参加チーム、サンウルブズに代表選手をほとんど出さず、長期間の合宿で代表を鍛え上げた。そのため、秩父宮ラグビー場で行われるホームゲームにはW杯代表がサンウルブズとして登場するのではないか、というファンやスポンサーの期待は裏切られ、W杯の認知度アップにも貢献しなかった。

 7月に入ってからの強化試合に3連勝してようやくファンの期待度が高まったが、W杯本番で勝てなかったら、サンウルブズや日本代表のスポンサー企業からブーイングを浴びせられかねない状況だったのである。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    西武フロントの致命的欠陥…功労者の引き留めベタ、補強すら空振り連発の悲惨

    西武フロントの致命的欠陥…功労者の引き留めベタ、補強すら空振り連発の悲惨

  2. 2
    西武の単独最下位は誰のせい? 若手野手の惨状に「松井監督は二軍で誰を育てた?」の痛烈批判

    西武の単独最下位は誰のせい? 若手野手の惨状に「松井監督は二軍で誰を育てた?」の痛烈批判

  3. 3
    巨人・小林誠司の先制決勝適時打を生んだ「死に物狂い」なLINE自撮り動画

    巨人・小林誠司の先制決勝適時打を生んだ「死に物狂い」なLINE自撮り動画

  4. 4
    全国紙が全国紙でなくなる?「新聞販売店」倒産急増の背景…発行部数の激減、人手不足も一因に

    全国紙が全国紙でなくなる?「新聞販売店」倒産急増の背景…発行部数の激減、人手不足も一因に

  5. 5
    花巻東時代は食トレに苦戦、残した弁当を放置してカビだらけにしたことも

    花巻東時代は食トレに苦戦、残した弁当を放置してカビだらけにしたことも

  1. 6
    日本ハムは過去2年より期待できそう 新外国人レイエスが見せつけた恐るべきパワー

    日本ハムは過去2年より期待できそう 新外国人レイエスが見せつけた恐るべきパワー

  2. 7
    大谷はアスリートだった両親の元、「ずいぶんしっかりした顔つき」で産まれてきた

    大谷はアスリートだった両親の元、「ずいぶんしっかりした顔つき」で産まれてきた

  3. 8
    【中日編】立浪監督が「秘密兵器」に挙げた意外な名前

    【中日編】立浪監督が「秘密兵器」に挙げた意外な名前

  4. 9
    WBCの試合後でも大谷が227キロのバーベルを軽々と持ち上げる姿にヌートバーは舌を巻いた

    WBCの試合後でも大谷が227キロのバーベルを軽々と持ち上げる姿にヌートバーは舌を巻いた

  5. 10
    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗