後藤逸郎
著者のコラム一覧
後藤逸郎ジャーナリスト

1965年生まれ。毎日新聞大阪経済部次長、東京本社特別報道グループ編集委員などを経て現職。著書に「オリンピック・マネー 誰も知らない東京五輪の裏側」(文春新書)。

強行開催は医療行政の逼迫と自治体の人員不足を加速させる

公開日: 更新日:

 政府は2月28日、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言を6府県で先行解除した。菅義偉首相は26日の会見で「3月7日、全国で解除することが大事だと思います」と述べ、全面解除へ強い意欲を示した。

 だが、国内の医療体制は依然として逼迫している。厚生労働省がまとめた都道府県の医療体制等の状況(2月23日現在)によると、医療体制提供に大きな支障が出る「ステージ3」は、20都道府県で継続中だ。緊急事態宣言の対象地域から外れた大阪、兵庫、京都、愛知、岐阜、福岡の6府県も含まれる。埼玉と千葉は爆発的な感染への備えが必要な「ステージ4」のままだ。

 また、解除6府県に隣接する奈良、滋賀、三重、静岡、佐賀5県は病床使用率が上昇している。ウイルスが消え去ったわけでなく、広範囲に広まっていることを示す。年末年始に急拡大したように、残った火種が再燃する恐れがある。

 感染拡大に伴い医療行政も逼迫する。厚労省は昨年と今年、新型コロナの積極的疫学調査の縮小を容認すると都道府県に通知した。感染急増で、濃厚接触者を追う人員不足の現実がある。東京都と大阪府は他部署の職員を保健所業務の支援にあたらせてきたが、慢性的な不足は続いている。塩野義製薬は保健所支援のため社員を派遣し、東京と大阪が受け入れる事態になっている。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    センバツ人気低迷の真犯人!「スタンドガラガラ」なのは低反発バット導入のせいじゃない

    センバツ人気低迷の真犯人!「スタンドガラガラ」なのは低反発バット導入のせいじゃない

  2. 2
    三田寛子ついに堪忍袋の緒が切れた中村芝翫“4度目不倫”に「故・中村勘三郎さん超え」の声も

    三田寛子ついに堪忍袋の緒が切れた中村芝翫“4度目不倫”に「故・中村勘三郎さん超え」の声も

  3. 3
    若林志穂が語った昭和芸能界の暗部…大物ミュージシャン以外からの性被害も続々告白の衝撃

    若林志穂が語った昭和芸能界の暗部…大物ミュージシャン以外からの性被害も続々告白の衝撃

  4. 4
    (6)「パンツを脱いできなさい」デビュー当時の志穂美悦子に指示したワケ

    (6)「パンツを脱いできなさい」デビュー当時の志穂美悦子に指示したワケ

  5. 5
    夏の甲子園「朝夕2部制」導入の裏で…関係者が「京セラドーム併用」を絶対に避けたい理由

    夏の甲子園「朝夕2部制」導入の裏で…関係者が「京セラドーム併用」を絶対に避けたい理由

  1. 6
    井上真央ようやくかなった松本潤への“結婚お断り”宣言 これまで否定できなかった苦しい胸中

    井上真央ようやくかなった松本潤への“結婚お断り”宣言 これまで否定できなかった苦しい胸中

  2. 7
    マイナ保険証“洗脳計画”GWに政府ゴリ押し 厚労相「利用率にかかわらず廃止」発言は大炎上

    マイナ保険証“洗脳計画”GWに政府ゴリ押し 厚労相「利用率にかかわらず廃止」発言は大炎上

  3. 8
    「大谷は食い物にされているのでは」…水原容疑者の暴走許したバレロ代理人は批判殺到で火だるまに

    「大谷は食い物にされているのでは」…水原容疑者の暴走許したバレロ代理人は批判殺到で火だるまに

  4. 9
    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

  5. 10
    大谷は口座を3年放置のだらしなさ…悲劇を招いた「野球さえ上手ければ尊敬される」風潮

    大谷は口座を3年放置のだらしなさ…悲劇を招いた「野球さえ上手ければ尊敬される」風潮