「最後の記憶」望月諒子著
「最後の記憶」望月諒子著
大学病院の脳外科医・沢村は、頭痛を訴える52歳の秋山を脳腫瘍と診断、入院させる。手術前日、説明を聞いた秋山から「眼鏡をかけたほうがいい」と言われた沢村は、脈絡のない会話に戸惑う。
翌日、秋山の開頭手術が始まって早々、漏れ出た髄液が飛び散り、沢村の目に向かってくるように飛び込む。手術は無事に終わるが、病理診断の結果、取り出した細胞は脳腫瘍ではないと分かる。
その日から、沢村は体に異変を感じる。誰かに乗っ取られたかのように、頭の中に自分ではないものの思考が混じり込むのだ。
術後、順調に回復して退院した秋山が再び病院に搬送されてきた。なぜか秋山の脳は萎縮して意識が戻らない。
優秀な脳外科医の悲劇を描く医療サスペンス。
(徳間書店 803円)