木村花さんの死を招きついに打ち切り…「テラハ」の罪と罰

公開日: 更新日:

 ――番組の構造にも問題がある。

「出演者たちはトキの人になりたい半分素人。制作側にとっては、出演者はギャラが安くつき、言うことを聞く便利な存在です。お膳立てされた空間で『カメラ回します』『よろしくね』と言われたら、期待に応えたくなるし、そうしなければ出演終了するかもしれない危機感もある。演出家の中には強いものに弱く、弱いものに強い者もいる。弱い者いじめの構造は制作段階からあるのです」

 ――受け手のレベルの低下も負のスパイラルに拍車をかけているという。

「皆がデジタル思考で白と黒の2択しかなく、グレーという考え方ができなくなっている。背景を想像したり、人におもんぱかることなく、怒りの感情を爆発させてしまう。こうして“無意識の中の悪意”がSNSを凶器に変えてしまっています」

 ――これからのテレビはどうなるのか。

「事件の舞台になった『テラハ』は番組終了にすべき。さらに根本原因を検証し、負の連鎖を止めてテレビが変わるきっかけにしなければならない。制作側は社会の変化を敏感に感じとり、新たな演出を見いだすのが仕事です。これからは作る側も見る側も『人にやさしく』をテーマにテレビを楽しめるように変わるべきではないでしょうか」

 ◇  ◇  ◇

 リアリティーショーの出演がきっかけで、世界では30人以上が自殺。すでに人を死に追いやる番組だとわかっていて制作を続けたテレビの責任は大きい。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    山崎まさよし、新しい学校のリーダーズ…“公演ドタキャン”が続く背景に「世間の目」の変化

  2. 2

    ポンコツ自民のシンボル! お騒がせ女性議員3人衆が“炎上爆弾”連発…「貧すれば鈍す」の末期ぶりが露呈

  3. 3

    ラウールが通う“試験ナシ”でも超ハイレベルな早稲田大の人間科学部eスクールとは?

  4. 4

    山崎まさよし公演ドタキャンで猛批判 それでもまだ“沢田研二の域”には達していない

  5. 5

    Snow Man目黒蓮と佐久間大介が学んだ城西国際大メディア学部 タレントもセカンドキャリアを考える時代に

  1. 6

    クマが各地で大暴れ、旅ロケ番組がてんてこ舞い…「ポツンと一軒家」も現場はピリピリ

  2. 7

    田村亮さんが高知で釣り上げた80センチ台の幻の魚「アカメ」赤く光る目に睨まれ体が震えた

  3. 8

    草間リチャード敬太“全裸騒動”にくすぶる「ハメられた」説…「狙った位置から撮影」「通報が早い」と疑問視する意見広がる

  4. 9

    別居から4年…宮沢りえが離婚発表「新たな気持ちで前進」

  5. 10

    若林志穂さん「Nさん、早く捕まってください」と悲痛な叫び…直前に配信された対談動画に反応

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ソフトバンクに激震!メジャー再挑戦狙うFA有原航平を「巨人が獲得に乗り出す」の怪情報

  2. 2

    山崎まさよし、新しい学校のリーダーズ…“公演ドタキャン”が続く背景に「世間の目」の変化

  3. 3

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  4. 4

    草間リチャード敬太“全裸騒動”にくすぶる「ハメられた」説…「狙った位置から撮影」「通報が早い」と疑問視する意見広がる

  5. 5

    維新の「議員定数1割削減」に潜む欺瞞…連立入りの絶対条件は“焼け太り”狙った露骨な党利党略

  1. 6

    山崎まさよし公演ドタキャンで猛批判 それでもまだ“沢田研二の域”には達していない

  2. 7

    ドジャース大谷翔平が直面する米国人の「差別的敵愾心」…米野球専門誌はMVPに選ばず

  3. 8

    「これが寝るってことだ」と感激…女優の岡崎友紀さん変形性股関節症との苦闘

  4. 9

    クマが各地で大暴れ、旅ロケ番組がてんてこ舞い…「ポツンと一軒家」も現場はピリピリ

  5. 10

    公然わいせつ容疑で逮捕→釈放も“連帯責任”…Aぇ! group草間リチャード敬太の芸能界復帰はイバラの道