二田一比古
著者のコラム一覧
二田一比古ジャーナリスト

福岡県出身。大学卒業後、「微笑」(祥伝社)の記者に。その後、「Emma」「週刊文春」(ともに文芸春秋)をはじめ、多くの週刊誌、スポーツ新聞で芸能分野を中心に幅広く取材、執筆を続ける。フリー転身後はコメンテーターとしても活躍。

「タモリ倶楽部」は40年の歴史に幕…深夜帯は若手ディレクターが腕を試せる実験場なのだ

公開日: 更新日:

 深夜番組の存在が世間に認知されるようになったのは1965年に始まった日本テレビ系の「11PM」だった。「趣味をそのまま仕事にした」と呼ばれた大橋巨泉が司会を務め、釣り・麻雀など男の遊び情報を前面に押し出した番組だった。スタジオは「ナイトラウンジ」の雰囲気を出すためカバーガールを配置。かたせ梨乃、飯島直子ら後の人気女優を輩出した。また、巨泉は今の「巨乳」を「ボイン」と呼ぶなど新語も発信して話題になった。

 他局もそれに続いた。

 テレビ朝日系の「トゥナイト」はナイト情報を前面に押し出し、山本晋也監督が風俗の実態を潜入ルポ。「ほとんどビョーキ」の言葉も流行語になったほどだった。

 テレビ東京系はさらに過激に。グラドルの細川ふみえを司会にAV出身の飯島愛がTバックのお尻を見せる「ギルガメッシュないと」は土曜深夜の名物番組だった。フジテレビ系も「オールナイトフジ」を放送。現役女子大生を起用してブームをつくった。

 男が作った男のための深夜番組も、やがて「子供の教育に悪い」と社会批判が強まり次第にお色気は消滅。間隙を縫うように生まれていたのが「タモリ倶楽部」だった。色気を抑え、「空耳アワー」など大人の遊び心をくすぐる、ゆる~い番組だった。ファンも多かったが、3月いっぱいで終了。40年の歴史に幕を下ろす。

 新たな深夜番組作りに奔走するテレビマンたちは、「深夜は実験的な番組を作れる。成功すればゴールデンに格上げしてもらえる。若手ディレクターにとって腕を試せる機会だった」と意欲にあふれていた。

 近年は若手芸人を集めたバラエティーやジャニーズタレントを中心にした恋愛ドラマが主になっていた。若者のテレビ離れが進む背景もあってか、4月期の深夜番組からは新たな挑戦が見えている。すでにNHKでは「夜ドラ」を放送。朝ドラのように定着できるか実験中だが、民放も改革が始まった。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    西武激震!「松井監督休養、渡辺GM現場復帰」の舞台裏 開幕前から両者には“亀裂”が生じていた

    西武激震!「松井監督休養、渡辺GM現場復帰」の舞台裏 開幕前から両者には“亀裂”が生じていた

  2. 2
    貧打に喘ぐ阿部巨人…評論家・秦真司氏が危惧する「坂本勇人の衰えと過度な主力依存」

    貧打に喘ぐ阿部巨人…評論家・秦真司氏が危惧する「坂本勇人の衰えと過度な主力依存」

  3. 3
    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  4. 4
    ロッテ4年10億円男・中村奨吾が“不良債権化”…ファンは怒り呆れ、SNSは批判の大喜利状態

    ロッテ4年10億円男・中村奨吾が“不良債権化”…ファンは怒り呆れ、SNSは批判の大喜利状態

  5. 5
    西武・渡辺GM兼監督代行が「現場目線」のトレード模索 12球団ワースト貧打は松井監督時代より悪化

    西武・渡辺GM兼監督代行が「現場目線」のトレード模索 12球団ワースト貧打は松井監督時代より悪化

  1. 6
    伝説のサラリーマン投資家 日本株はバブルと呼ぶには程遠い「儲けるチャンスは大あり」

    伝説のサラリーマン投資家 日本株はバブルと呼ぶには程遠い「儲けるチャンスは大あり」

  2. 7
    眞鍋かをり「野党は文句しか言っていない」にツッコミ猛拡散 イベントで小池都知事と同席の過去

    眞鍋かをり「野党は文句しか言っていない」にツッコミ猛拡散 イベントで小池都知事と同席の過去

  3. 8
    “投手”大谷の「球速低下」と「二刀流断念論」との戦い…2度目手術後は“選手寿命激減”と米論文

    “投手”大谷の「球速低下」と「二刀流断念論」との戦い…2度目手術後は“選手寿命激減”と米論文

  4. 9
    蓮舫氏の東京都知事選出馬に右往左往、毒舌批判する《#パニックおじさん》って何だ?

    蓮舫氏の東京都知事選出馬に右往左往、毒舌批判する《#パニックおじさん》って何だ?

  5. 10
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」