ニデック(下)カリスマ経営者が自動車メーカーのEVシフトを読み違えて大きく躓いた
昨年、創業50周年を迎え、4月には社名を日本電産からニデックに変更した。大きな節目を前に、経営が岐路に立っていることを数字が物語っていた。
創業者の永守重信会長の怒りは凄まじかった。
「外部からみえた方々(前経営陣を指す)が非常に好き放題の経営をやられて、大きな負の遺産を作って去っていった。それにより生じたゴミを今期中に全てきれいにする」
決算の大幅な下方修正に踏み切った原因を前社長の関潤など外部から登用した幹部に押し付けた格好だ。
永守はEV向け電動駆動装置「イーアクスル」事業の戦略を従来のシェア重視から収益重視に転換した。営業利益1000億円の下方修正は「一過性の出来事だと思ってよい。来期(24年3月期)は成長していく。特に大きく転換するのが車載事業だ。500億円の構造改革費を計上したイーアクスルは来期は確実に利益が出るようになる」と自信満々に語っていた。
ところが、永守の読みは大きく外れた。全てのイーアクスル製品が営業赤字。それだけでは済まず、同事業で再び構造改革(450億円を再計上)を余儀なくされた。