“バッティング体操”に終始するからこそ感じた巨人丸の凄み
先週、5球団がキャンプを張る宮崎を回ってきた。最も印象に残ったのは、巨人にFAで加入した丸佳浩(29)である。
とはいっても、特別に状態の良さが際立っているわけではない。打撃練習を見ても、打球の速さや飛距離ではもっと目立つ選手が何人もいた。柵越えを連発するそういう連中を横目に、ライトへセンターへレフトへ、ポンポンと打ち返すだけ。“おっ、強く振ったな”と思わせるのは特打の終盤くらいで、ファンが見ればむしろ、物足りなく感じるかもしれない。
そこに私は、丸の凄みというか、迫力を感じるのだ。2年連続MVPを獲得し、広島3連覇の立役者だった丸は同一リーグのライバルである巨人に移籍し、今度は盟主のV奪回の切り札として大きな期待と注目を背負った。年俸も破格。普通なら、いいところを見せようと気負うものだろう。
それが、全くない。昨年、リーグ2位の39本もの一発を打っているのだから、打撃練習で柵越えを連発するくらい、わけもないことのはず。当然、そういうシーンをファンやメディアが喜ぶことも知っていながら、打撃練習ではタイミングとミートだけを考え、簡単に安打を打ち返すことに終始しているのだ。