鈴村裕輔
著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大准教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部准教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

“田沢ルール”に日米で温度差 なぜメジャーで話題にならず

公開日: 更新日:

 今年のドラフト会議の大きな話題のひとつは、2008年に設けられたいわゆる「田沢ルール」の廃止と、レッズ傘下3Aルイビル・バッツを経てルートインBCリーグの埼玉武蔵ヒートベアーズに所属する田沢純一(34)を指名する球団が出るか、という点であった。

「田沢ルール」は、アマチュア選手が日本のプロ野球のドラフト指名を拒否し、直接外国のプロ球団と契約した場合、大学卒業者と社会人は2年間、高校卒業者は3年にわたり、外国球団を退団した後もプロ野球12球団と契約できないという申し合わせ事項だ。

 アマチュア選手が日本ではなく大リーグを含む海外の球界を選ぶのは選手本人にとって日本のプロ野球が「一番興味のあるリーグではなかったということ」というのが選手会の主張であり、経営者側は田沢の事例を容認すれば今後、有力なアマチュア選手の「流出」が続いてドラフト制度が崩壊するという懸念があった。

 一方、大リーグ機構は、日本側と双方のドラフト候補選手との交渉は行わないという紳士協定を結んでいた。だが、田沢のようにアマチュア選手自身が大リーグへの挑戦を希望している場合、本人の意思を尊重しないのは職業選択の自由に反するとして、機構は紳士協定の適用除外を明言した。この時、日本側との交渉を担当したのは、当時機構の労務担当副会長で現コミッショナーのロブ・マンフレッドだった。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    「実際のところ二刀流を勧める立場でもなければ、考えたことも、その発想すらなかった」

    「実際のところ二刀流を勧める立場でもなければ、考えたことも、その発想すらなかった」

  2. 2
    入団直後から“普通でなかった”思考回路…完封を褒めても「何かありましたか?」の表情だった

    入団直後から“普通でなかった”思考回路…完封を褒めても「何かありましたか?」の表情だった

  3. 3
    “懲罰二軍落ち”阪神・佐藤輝明に「藤浪化」の危険すぎる兆候…今が飛躍か凋落かの分水嶺

    “懲罰二軍落ち”阪神・佐藤輝明に「藤浪化」の危険すぎる兆候…今が飛躍か凋落かの分水嶺

  4. 4
    「結婚はまったく予想していませんでした。野球をやっている間はしないと思っていた」

    「結婚はまったく予想していませんでした。野球をやっている間はしないと思っていた」

  5. 5
    「銀河英雄伝説」大ヒットの田中芳樹さんは71歳 執筆47年で120~130冊…どのくらい稼いだの?

    「銀河英雄伝説」大ヒットの田中芳樹さんは71歳 執筆47年で120~130冊…どのくらい稼いだの?

  1. 6
    《あの方のこと?》ラルクhydeの「太っていくロックアーティストになりたくない」発言が物議

    《あの方のこと?》ラルクhydeの「太っていくロックアーティストになりたくない」発言が物議

  2. 7
    GLAYのTERU“ホテル不満ツイート”が物議…ツアー最終日「気持ちが上がらない」にファン失望

    GLAYのTERU“ホテル不満ツイート”が物議…ツアー最終日「気持ちが上がらない」にファン失望

  3. 8
    木村拓哉「Believe」にさらなる逆風 粗品の“あいさつ無視”暴露に続き一般人からの告発投稿

    木村拓哉「Believe」にさらなる逆風 粗品の“あいさつ無視”暴露に続き一般人からの告発投稿

  4. 9
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 10
    小池百合子都知事の“元側近”小島敏郎氏が激白! 2020年都知事選直前に告げられた「衝撃の言葉」

    小池百合子都知事の“元側近”小島敏郎氏が激白! 2020年都知事選直前に告げられた「衝撃の言葉」